
「いつものラッピングをもっとランクアップさせたい!」



それなら半透明のシーリングスタンプを試してみませんか?
使うだけでおしゃれな雰囲気を演出してくれるシーリングスタンプ。
ここ数年でグルーガン向けの商品が充実してきました。
今回はまるで宝石のようにきらめく半透明シーリングスタンプの魅力と道具選び、初心者でも失敗しない作り方とコツ、必ず知っておきたい注意点や黄変についてをご紹介。
さらに、ゴールドのハイライトや押し花、箔を使った応用アレンジ例まで、まるごと解説していきます。




- ラッピングやカードに「高級感」をプラスしたい
- ウェディングなどで大量に制作予定
- 透明・マーブルのシーリングを自分でもやってみたい
- 100均の道具でやってみたけど、うまくいかなかった
- グルーガンとスティックの選び方で迷っている
↓目次から気になるところへ飛べます
シーリングスタンプの魅力と歴史


シーリングスタンプは、中世ヨーロッパで手紙の封緘に使われていたのが始まり。
蜜蝋を溶かして押印することで未開封を証明し、送り主の権威を示すシンボルでもありました。
伝統的なワックスは硬質で「パリッ」と割れる質感でしたが、現代では郵送にも耐えられるようEVA樹脂(プラスチックの仲間)をベースにした柔軟なタイプが主流になっています。
道具の進化


ワックスはもともと、直火や金属匙に入れて焙って垂らす方法が一般的でした。
今でも昔ながらの丁寧なやり方を好む方もいますが、最近ではグルーガンを使って手軽に大量に作れる方法も広がっています。
さらに、海外ブランドでは「シーリング専用ガン」や「専用スティック」も登場。
伝統の美しさを保ちながら、よりスピーディーで安定した制作が可能になっています。
シーリングに向くグルーガンとスティックの選び方ポイント
グルーガンシーリングスタンプを美しい仕上がりにするためには、グルーガンとスティックの相性がとても大切です。
失敗を防ぐために、まずは基本を押さえておきましょう。
ポイントは「温度」と「ワット数(馬力)」です。
グルースティックの温度
グルースティックには溶ける温度帯の違いで大きく2つの種類があります。使うスティックによって、グルーガンとの相性が変わります。
低温~中温タイプ(シーリング・クラフト用)


融点は90〜120℃ほど。接着力は弱め。カラフルなスティックも豊富。Artisaireなどシーリングスタンプ専門海外ブランドでも流通。
融点は低いですが、きれいにスタンプを押すにはもう少し高い温度でなめらかな状態にするのがおすすめです。
高温タイプ(一般DIY用グルー・ホットメルト・ホットボンド)


融点はおよそ170〜200℃。強力な接着を目的としたスティック。色は透明・半透明・白などに限られる。
やや粘度が高めで、厚みのある仕上がりが得意です。
▼凸凹の深い3Dスタンプもうまく作りやすい






ダイソーなど100円ショップやホームセンターには、低温・高温両方の温度帯のスティックが流通しています。パッケージの「融点」や「対応温度」を確認して、グルーガンとの相性をチェックしましょう。
グルーガンの種類
グルーガンを選ぶときは、まず温度で考えるのが基本。さらにW数(馬力・パワー)の違いで使い心地が変わります。
低温ガン(110〜130℃/6〜10W程度)


100円ショップにもある小型に多い安価なタイプ。
ちょこっと使いには便利ですが、ワット数が低くパワー不足だったり、温度が安定しにくかったりするため、本格的な制作には不向きです。
液だれや糸引きが頻繁に起きます。
中温ガン(140〜170℃/20〜40W前後)☆初心者さんにおすすめ
シーリング用スティックとの相性抜群。仕上がりを重視したい方や、初心者さんにおすすめです。
※Artisaireの120℃/40Wのように低温固定でも馬力で安定させる“専用機”もあります。
高温ガン(180℃以上/60〜100Wクラス)☆大量制作におすすめ


高温タイプのグルーをしっかり溶かし、大量生産や厚みのある仕上がりに最適。私はこのタイプを使ってます。
ただし過熱によるヒューム(有毒な煙)には注意。
過熱防止のために、W数を切り替えられたり、ON/OFF機能が付いたものがおすすめです。(それらの機能が無ければON/OFFできる電源タップを使うと便利です。)
グルースティック×グルーガン相性の早見表
グルーガンシーリングで失敗しない組み合わせをチェックしておきましょう。
スティック | 推奨グルーガン | 特徴 |
---|---|---|
シーリング用 低温タイプ | 中温ガン (20〜40W) | サラッと溶け、気泡が抜けやすい。初心者に◎ |
DIY向けグルー 高温タイプ | 高温ガン (60〜100W) | 粘度が高く立体感あり、大量制作向き |
― | 100均小型 (6~10W程度) | 入手しやすいが練習用止まり |
補足コラム:スティックの太さ
スティックの太さには7mm前後と11mmがあり、グルーガンもそれに対応したものを選ぶ必要があります。


- 7mm前後:ダイソーなど100均や小型ガン向け。差し替え頻度が高く、本格制作には不向き。
- 11mm:本格派の定番。海外のシーリング専用スティックもほぼ11mm規格。 1本で作れる量が多く、大量制作でも安定。
対応するグルーガンの性能面からも、きれいに仕上げたいなら11mmのスティックを選ぶのがおすすめ。
対応サイズと違うものはお互いに使えないので注意してくださいね。
半透明マーブルシーリングスタンプ の作り方とコツ
それでは半透明マーブルシーリングスタンプの作り方を解説していきます。
※グルーガンシーリングでは、差し込むスティックの色を変えることでも2色のマーブル模様は出せるのですが、今回はもう少し色数を増やしたり、模様をコントロールできるやり方をご紹介します。


▼まず動画を見ていただくと流れが分かりやすいと思います!
材料


- グルーガン
- グルースティック(1本でOK)
- 削ったワックス
- スタンプ
- シリコンマット(またはクッキングシート)
- 保冷剤
- ハンカチ(私はペットシーツ使用)
- ピンセット
- (※バーサマーク)
作り方&コツ






溶けやすくするために、できるだけ薄めに削ってください。


押した後のグルーを早く冷ますための大切なポイント。スタンプがはがれやすくなります。
水気が付いたら拭いておいてください。


グルーガンは説明書に従って数十秒~数分の予熱時間を置きます。しっかり熱せられていないと、グルーがうまく出てきません。
出したグルーが広がらず出したままの形で留まっていたり、糸が引いていつまでも切れない時は加熱不足です。
反対に、出したグルーがブクブク泡立っていたり煙が出る時は過熱状態。すぐに電源を切りましょう。
絞りだすグルーの量は、スタンプより一回り小さいくらいが目安です。お好みの縁の大きさに合わせて増減してください。




削ったワックスを手早く乗せて、ワックスが溶けるまで数秒待ち、溶けたらスタンプを押します。
スタンプは底付きするまでググっと押し切ってしまわず、縁からグルーが少し出るくらいで止めましょう。




グルーが冷めるまで数分そのまま放置し、冷めたらスタンプを取ります。
色が透明からうっすら半透明に変われば冷めてきた合図です。
剥がしたスタンプは再び冷やしておきましょう。


▽スタンプシールのサイズに合ったテープを貼りましょう!


美しく仕上げるための便利アイテム
便利なアイテムを使うと、理想の形にさらに近づけられます。
丸く整った形にしたい
ニュアンスのある縁取りも素敵ですが、均一なサイズの円形に整えたい時にはスタンプ用のモールドがおすすめです。
スタンプサイズに合わせた直径のものを選びましょう。


透明感をアップさせたい
透明度の高いグルーを使う場合は、下に敷くものに表面がつるつるなものを使うと透明度が増します。
敷いているものの質感を拾ってしまうため、クッキングペーパーやマットな質感のシリコンマットを使うと透明度に影響します。
スタンプ台も冷やして使うのがおすすめです。
スタンプを剥がす時に形がくずれないようにしたい
冷やしても接着力が強くはがれにくいグルーの場合は、スタンプにバーサマークを付けてから使うとスルっと剥がれます。(あきさん(@akiaki1234_1363)に以前教えていただきました!ありがとうございました)


バーサマークは紙に透かし模様を入れる時に使う油性インクです。
バーサマークを付けてからグルーにスタンプします。


少しベタつきが残ることがありますが、無水エタノールでふき取ればスッキリ取れます。
3つのアレンジ紹介
半透明シーリングスタンプはそのままでも十分可愛いですが、様々にアレンジを加えて楽しむこともできます。
ゴールドやシルバーのアクセント、ドライフラワー、箔の3つのアレンジ方法をご紹介しますね。
①ゴールドやシルバーでディテールを強調
ゴールドやシルバーで模様をなぞるとデザインのディティールが際立ちます。
使うものはネイルパウダーやマーカーがおすすめです。




ネイルパウダーの方は、見る角度によって少し透け感のある優しい仕上がりになり、マーカーの方はパキッと鏡面のような輝きになります。


輝きが強く、透けにくく、細かな部分も塗りやすいという点で私のお気に入りのマーカー達。
シルバーのイチ押しはコチラ。水銀のような仕上がりになってすごく良いのですが、すごく高い…


少し太いですがペベオさんのものが明るめシルバーでキレイです。


デザインやスタンプシールの雰囲気に合わせて選んでいただければと思います。
②押し花・ドライフラワーを閉じ込める
押し花などを閉じ込めると、幻想的な雰囲気になります。




封入には小ぶりの押し花や薄い花びらのドライフラワーを使いましょう。
嵩(かさ)のある花や大き目の花だと、気泡が入ったり、一部のグルーがスタンプ側にくっつくなど仕上がりが汚くなりやすいです。
③箔を貼って華やかに
箔を使うとより華やかな、高級感のある雰囲気になります。
作ったスタンプシールにバーサマークを塗り、箔フレークを貼ります。(多分他のものでもできますが、バーサマークの粘着力が丁度よいのです笑)






▼本物の箔。クラフト箔の1/3の厚みで扱いはデリケートですが密着性が良く、仕上がり面でおすすめです


箔を自分でちぎる際は、ピンセットにベビーパウダーをまぶすと、くっつき防止になりますよ。
ぜひさまざまなアレンジも楽しんでみてください。
よくある失敗と解決策
グルーガンシーリングスタンプはとても楽しいクラフトですが、初めて挑戦すると「思った通りに仕上がらない!」ということも多いもの。
ここではよくある失敗と、その解決策をまとめました。
気泡が入ってしまう
原因①:温度不足 グルーが十分に溶けず、粘度が高いまま押し出されると空気を巻き込みやすくなりますし、入った気泡が抜けません。
対策:中温ガンでしっかり溶かすと気泡が減ります。
原因②:過熱 逆に高温になりすぎると、グルーが分解してブクブクと大きな気泡や煙(ヒューム)が発生します。
対策:長時間の放置は避け、温度制御がしっかりしたガンを使う。またはON/OFFをこまめに切り替えることが大切です。
糸引きがひどい
原因:温度不足でグルーが十分に柔らかくならないことで、糸のように伸びてしまうケースです。出力の弱い小型ガンや高温グルーでは特に起こりやすいです。
対策:十分な温度に達するまで予熱し、安定した中温・高温ガンを使うと改善します。
形がぺちゃんこになる
原因:低温用グルーを高温ガンで使うと、サラサラになりすぎて厚みが出ません。
対策:スティックの融解温度とガンの温度帯を合わせるのが解決策です。
なかなか押し出せない
原因:グルーとガンの温度相性が合っていない、あるいはガンのパワー不足が原因です。
対策:スティックとガンの相性を確認し、20W以上のしっかりした機種を選ぶと快適に作業できます。
形が丸くならずいびつになる
原因:温度不足で、出したグルーがすぐに固まりかけている(円く広がらない)、出すグルーの量が少なすぎる、またはスタンプを均一に押せていないことが原因です。
対策:適切な温度でグルーを扱う/スタンプより一回り程小さい量のグルーを出す/シリコンモールドを使うと、安定した丸い形にしやすいです。
スタンプが外れない
原因:グルーの接着力が強い、またはスタンプが十分に冷えていない場合に発生します。
対策:スタンプを冷却してから押すのが基本対策です。応用的には、バーサマーク(油性インク)を薄く塗っておくと剥がれやすくなります。
「失敗あるある」を知っておくと、初めてでも挫折せずに楽しめます。
グルーガンシーリングはコツを掴めば一気にきれいな仕上がりになるので、安心して挑戦してみてください。
安全に楽しむための注意点
火を使わないと言っても危険はあります。
安全には十分配慮しましょう。
作業中の換気を徹底する
グルーが過熱されすぎると、目や喉を刺激するヒューム(煙)が発生することがあります。
必ず窓を開けたり、換気扇を回したりして、風通しの良い場所で作業しましょう。
ノズル部分のやけどに注意
グルーガンは高温になるため、ノズル部分や溶けたグルーに触れるとやけどをする危険性があります。
作業中はノズルに触れないように十分注意し、溶けたグルーが皮膚に付着した場合は、無理に剥がさず、すぐに冷水で冷やしてください。
電源を入れたまま放置しない
電源を入れたまま横倒しにすると、溶けたグルーが内部に逆流して故障の原因になります。
また、作業を中断する際や、その場を離れる際は、必ず電源を切る習慣をつけましょう。
コラム:グルーの黄変と経年変化のこと
実はグルーは、EVA樹脂の性質上 黄変してしまいます。黄変とは時間が経つにつれて琥珀色に変わっていくことです。


理由は紫外線による酸化や熱によるEVA樹脂の分解劣化で、これは以下のような粒状のタイプでも同じです。


※余談ですが透明タイプのビーズを匙で焙るのは、過熱の危険性が高くおすすめしません…
色付きタイプなら黄変が目立ちにくかったり、スティックの成分に酸化防止剤が入ったものは進行を遅らせられますが、完全には防げません。




なるべく資材選びで回避しつつ、ゆっくりとした変化は「ヴィンテージ感」として楽しむのが良いと思います。
スタンプシールはもともとアンティーク雑貨との相性も抜群ですしね。
コラム:著作権と販売に関する注意
市販のシーリングスタンプを使って制作したシールを販売することは、スタンプデザインの著作権侵害にあたる可能性がありNGです。
スタンプシールを販売する場合は、自分でデザインしたオリジナルのスタンプを使うのが安心です。スタンプを制作してくれる企業もたくさんあるのでチェックしてみてくださいね。
まとめ
シーリングスタンプは、伝統の美しさと現代の手軽さをあわせ持つクラフトです。
基本やコツを押さえれば、初心者さんでも失敗なく楽しめます。
半透明マーブルの奥行きや、箔・押し花のアレンジを加えて、ぜひあなただけの特別な仕上がりを楽しんでください。