モデリングペーストっていろんなメーカーのものがある!
名前が同じだし、どれも一緒かな?
比べてみたら全然違いました!
テクスチャーアートのように、質感を活かした作品作りに欠かせないモデリングペーストは、各メーカーから発売されています。
今回はホルベイン、リキテックス、ターナー(とゴールデン)の商品で、価格や使用感や仕上がりを比較してみました。
基本の使い方や失敗の直し方、代用品の作り方や注意点にも触れながら詳しく解説していきます。
↓目次から気になるところへ飛べます
モデリングペーストって何?使い方は?
モデリングペーストとは大理石粉末(炭酸カルシウム)とアクリル樹脂からできた、粘り気のあるパテ状画材です。
主にペインティングナイフで塗りつける形で、絵画の盛りあげ表現やジオラマの質感演出などに使われ、硬質なタイプでは乾燥後に削ったり彫ったりすることもできます。
スタンダードなモデリングペーストの他に、各メーカーにシリーズ商品があり、軽量タイプや柔軟性のあるタイプ、粒子が入ったタイプなど実はバリエーション豊富です。
よくある失敗:ヒビ割れの対策は?直し方は?
モデリングペーストのよくある失敗に、ひび割れがあります。
仕上がりが硬く、柔軟性が少ないタイプのモデリングペーストを単体で厚塗りすると、ひび割れてしまうことがあります。
これを防ぐには、
・ラップでふんわりと覆いをしてゆっくり乾かしていく
・一度に厚塗りせず、薄塗りを重ねて盛り上げる
・ジェルメディウムを混ぜて柔軟性をもたせる
・仕上がりが柔軟なモデリングペーストを使う
などの方法があります。
今回のメーカー比較で仕上がりが柔軟なタイプが分かりますし、各メーカーのシリーズ商品も後ほどご紹介するのでぜひ参考にしてみて下さい。
ひび割れてしまったときの直し方は、水で少しゆるめたモデリングペーストを塗って、ひび割れ部分を埋めるだけです。
着色したモデリングペーストを使っていた場合、修復用に全く同じ色を作り直すのは難しいので、ひび割れが心配な場合は着色したペーストを捨ててしまわず、空気に触れない形で少しだけ残しておくようにしましょう。
リキテックス、ターナー、ホルベイン比較(+ゴールデン)
各社のモデリングペーストをペインティングナイフで黒い耐水紙に塗布し、内部が乾くまで乾燥させました。
※以前インスタライブで制作しました!ご覧くださったみなさまありがとうございました^^
平塗りで伸びのよさや透明感を、タッピングで粘り気を、盛り上げペイントで痩せやひび割れを観察しています。
クローズアップ写真
※あまり質感をとらえられて無くてすみません。実物は結構差があります。涙
・リキテックス
・ターナー
・ホルベイン
容量・価格・使用感比較表と私のおすすめ
スマホでご覧の方は横にスクロールできます→
商品 | 容量 | 価格 | 結果 | 感想 |
---|---|---|---|---|
リキテックス | 50ml 300ml 500ml 1,200ml 2,000ml 4,000ml | 5.9円/ml (300ml) | ・粘性高い ・透明感なし ・硬質で漆喰調に 仕上がる ・柔軟性なし ・ひび割れやすい | 圧倒的に粉末分が多い。 練りが固めで粘りけが強く、扱いに少しコツが要る。 厚塗りはひび割れるのでジェルメディウム必須。 でもメディウムを入れる量で柔軟性や透明感を調節可能なため、幅広い使い方ができそう。 50ml~4ℓと容量豊富。 |
ターナー | 250ml 500ml | 3.52円/ml (250ml) | ・粘性低め ・透明感高め ・柔軟性があり ツルっと仕上がる | 一番樹脂分が多い印象。 リキテックスより固くなく、薄塗りがしやすい。 乾いてからも柔軟性があって、厚塗りしてもひび割れしにくい。削るような使い方はできなさそう。 価格が安く、初めてのモデペの大きめ作品に良いかも。 |
ホルベイン | 40ml 300ml 900ml | 4.4円/ml (300ml) | ・リキテックスと ターナーの間の 使用感と仕上がり | 使用感・仕上がりはリキテックスとターナーの間な感じで、 バランスが良い印象。痩せがある。 スタンディングパウチ(40mlはチューブ入り)で出しやすく、 使いかけ時の乾燥も防げておすすめ。 |
ゴールデン | 237ml 946ml | 8.81円/ml (237ml) | ・もったりとして なめらか ・透明感少なめで 柔軟性あり | ※比較画像なしです なめらかでやわらかめ。ターナーほど透けない。グレー味が強い。 ホルベインやリキテックスと比較して、粉末の粒子が 細かい。 価格が高いのがネック。 |
※各社大容量タイプはもう少しml単価が安くなります。
仕上がりの硬さは、硬い方からリキテックス>ホルベイン>ゴールデン>ターナーとなり、
同じ順に仕上がりが石っぽい>樹脂っぽいと感じました。
ちなみに私は今はホルベインをメインで使ってます。パウチになってるのが使いやすいし使い勝手と仕上がりのバランスがよくておすすめです。
もっと漆喰調なニュアンスが欲しいときはリキテックスにしています。
各社のシリーズ商品と使い分け
リキテックス
リキテックスのモデリングペーストにはレギュラーの他に柔軟性があるフレキシブルと、軽量化されたライトがあります。
フレキシブルは乾くとわずかにくすんだ色になり、レギュラーより透明感が出ます。
ライトは乾くと吸収性のある仕上がりになり、上からの着色やぼかし表現がしやすい特長もあります。
ターナー
ターナーのモデリングペーストにはレギュラーの他に軽量タイプのライトがあります。
レギュラーの半分の重さで、重くなってしまいがちな大型作品も作りやすいです。
ホルベイン
ホルベインのモデリングペーストにはレギュラーの他に軽量タイプのライト、高密度でやせが少ないハイソリッド、細かめ~極粗目な砂粒状の仕上がりになるパミスがあります。
↓重さとやせ具合のマッピング
こちらもライトは吸収性となります。
ハイソリッドはエッジを出す表現に向き、固練りになっています。
パミス(軽石)シリーズはパミス<コースパミス<エキストラコースパミスの順に入っている粒が粗くなります。
パミス自体に色があるため、乾いても薄灰色っぽいですし、絵の具を混ぜ込む場合は発色が少しにぶくなります。
ゴールデン
ゴールデンのモデリングペーストはもっとも種類豊富で、レギュラーの他に軽量タイプのライト、硬質タイプのハード、ザラザラ質感のコース、粘度高めで透明感が出るエキストラヘビーが日本では売られています。
※ゴールデンの日本の販売代理店は以前はターナーでしたが、契約終了して2021年からホルベインになっています。
公式ショップや画材屋さんのWebショップでないと品揃えが充実してない傾向です。
私はレギュラーとハードしか使ったことがありません(汗
ハードでもやわらかななめらかさがあります。乾くと削ったり彫ったりできますが、リキテックスほど硬質で漆喰のような質感にはならないです。
レギュラーは各社のモデリングペーストの中で一番灰色をしていて、ハードも灰色がかっています。
モデリングペーストの代用品は?自作できる?剥がれやすい?
モデリングペーストの代用品は、大理石粉末の代わりになる「粉」とアクリル樹脂の代わりになる「つなぎ」の働きを持つものを混ぜ合わせれば作れます。
特によく使われているのは、お安く手軽に手に入る重曹(炭酸水素ナトリウム)と木工用ボンドなどの接着剤の組み合わせで、重曹アートなどとも呼ばれています。
作り方は重曹にボンドとアクリル絵の具を加え、好みの固さになるまで練り混ぜるだけ。
ボンドが少なすぎると接着力と弾力が弱くなり、乾いてから剥がれてしまったりひび割れしやすくなる点にご注意ください。
また、劣化が早く長期保存に向かないと言われるほか、絵の具を一緒に使う場合、色調の変化や経年劣化への影響は不明なので、必ず小ピースでお試しになってからお使い下さい。
もっと画材のモデリングペーストに近づけるなら、大理石粉末と同じく炭酸カルシウムを主成分とする胡粉や方解末(方解石 カルサイト粉末)と、アクリル樹脂単体であるジェルメディウムを混ぜる方法があります。
詳しい使い方・作り方については動画にしています。
自作モデリングペースト作品制作動画
胡粉とジェルメディウムでモデリングペースト作品を作る様子です。
胡粉は摺って使うと細かく滑らかな粉末になる顔料で、白さ・なめらかさによってランクがあり、白く良質なほど高価になります。
方解末については粒子の大きさが段階的になっていて、数字が大きくなるほど細かくなり、最も細かいものは「白(びゃく)」です。
白であっても多少の粒子感が残る大きさです。
粒子が細かく均一な練り物を作って厚塗りすると、乾燥時にひび割れしやすくなるため、ひび割れ防止には粉を数種類混ぜたり(例えば土壁にはいろいろな素材が混ざってますよね)、つなぎを多くするなどの工夫が必要です。
ジェルメディウムについても練りの固さや仕上がりの痩せにくさなどでバリエーションがありますし、入れる量や粉との相性によって乾いてからの吸収性も違ってきます。
「自分好みの盛り上げ材を作りたい!」という方はいろいろ試してみて下さいね。
まとめ
モデリングペーストについて、基本やひび割れのこと、各社のラインナップ、代用品や自作する場合について解説しました。
モデリングペーストを絵肌づくりに取り入れると画面に陰影が出て、味わい深い作品になります。
すでにお使いの方も、商品によって使用感や仕上がりが変わりますので、ぜひ違ったメーカーやレギュラー以外のものにも挑戦してみて下さいね。