
ポーリングアート×エブル技法
新しい表現ができるかも!
ポーリングアートに新しい表現を加えたいなら、コーム(櫛)を使った技法を試してみませんか?
もともとエブル(トルコの伝統技法)で500年以上前から使われてきたこのテクニック。
ポーリングアートにも応用できないかと考え、伝統的な模様出しを再現してみました。
手順通りにコームを動かすだけで多彩なパターン模様が作れるため、新しい技法を試したい方はもちろん、ワークショップで楽しんでいただくのにもおすすめです。
ポーリングアートは、ただ注ぐだけにとどまらず、カップを滑らせたり、ドライヤーやストローで吹いたり、風船でスタンプしたり…どんどん進化していますよね。
今回はそんなポーリングアートをさらに楽しめる・さらに表現の幅を広げる方法をご紹介します。
↓目次から気になる章へ飛べます
エブルとは?500年以上の歴史を持つ「紙の宝石」
エブルを知らない方でも、マーブリングという名前なら聞いたり体験したことがある方がいらっしゃるかもしれません。(私は中学校の授業で習いました)
最近では100円ショップでもマーブリング用の材料が手に入るようになり、より身近なアートになっています。


マーブリングは、水面に浮かべた絵具に爪楊枝などで線を引き、紙や布などに写し取ることで独特の模様が生まれるアートのこと。
エブルとは、このマーブリングのうちトルコで発展した伝統的なスタイルです。
エブルは500年以上の歴史を持ち、その美しさと繊細な技法からトルコでは「紙の宝石(Ebru: The Jewel of Paper)」とも称され、公式文書や貴族の書籍の装飾や芸術作品に重宝されてきました。
マーブリング技法自体は世界各地に存在していて、ヨーロッパでは17世紀に「ペーパーマーブリング」として広がっていますし、日本では平安時代(9世紀ごろ)から「墨流し」として独自に発展しています。
いずれのマーブリングも「偶然の美しさ」を楽しむ点が共通していますが、エブルは特に繊細なコントロールが求められる技法として知られています。
エブルの魅力とは
偶然性と計算が融合した美しさ
水上を漂う絵具に、計算された手順で線を描くことで模様が生まれる。
カリグラフィ(アラビア書道)との融合
イスラム圏では、エブルを背景として活かし、その上にカリグラフィを描くことで、独特な視覚効果のある幻想的な作品を作りだしている。
テキスタイルデザインにも応用
現在はスカーフに転写されたり、パターン模様として生地に取り入れられるなどファッション業界でも人気。
ポーリングアート×エブルのコーム技法
ポーリングアートにエブル技法を取り入れる場合、キャンバス上の絵具を直接コームで引くのがポイント。
コームを使ったエブルでは、流し込むだけでは得られないシャープなラインや複雑なパターン模様を加えられます。
ツールとしては、本来のエブルやマーブリングでは専用のコームとレーキ(熊手)が使われますが、ポーリングアートで使用する場合は、キャンバスを傷つけないためにも、ヘア用のコームがおすすめです。
100円ショップでも売られていて、手軽に入手しやすいですしね。
▽エブルで使われるのはこんな感じのもの


コームの種類と選び方、自作方法
ポーリングアートに使用する時のコームのおすすめは、トリートメント用のような、歯の間隔が広めタイプ。また、櫛の先端がカーブしておらずまっすぐなものを選びましょう。
さらに、歯の1本1本はできるだけ細めで、柄の部分が、キャンバスに歯を置いても邪魔にならない形のものにしてください。


コームの歯の間隔は、作るデザインによって、細かめや、さらに広いものを使い分けます。
レーキの代用品について
本来レーキを使用する、市販のコームより広い間隔が必要なデザインでは、私は以下のようにコームの歯を折って間引いたものを使っています。




ちなみに歯を折るときはペンチなどで傷をつけてから、タオルで包んでバキッと折っています笑
より安価に仕上げたいなら、身近な材料で一から自作するのも難しくありません。
▽自作レーキの作り方












エブルのコーム技法 9種類のパターン模様と描き方
それではコームで作れるパターン模様と描き方を9種類ご紹介します。
※水上に浮かべた絵具とキャンバス上の絵具では、絵具の伸び具合や跡の残り方が違うため、エブルと全く同じ模様の再現とはいきませんが、同じ手順を用いることで様々な面白い模様が描けます。
9種類のパターン模様
▽9種類の模様と描き方を動画で見るならコチラ
1.ノンパレイル(Nonpareil)
細かなクシ目を通した模様。唯一無二という意味の名前。基本パターンの1つ。




2.シェブロン(Chevron)
ジグザグ模様。トルコではGelgit(ゲルギット)と呼ばれる。こちらも基本のパターンの1つ。ノンパレイルに互い違いにコームを通すと細かなシェブロンに。




3.フェザー(Feather)
羽の模様。ノンパレイルに対して垂直方向に、レーキでゆるい波線を描く。


4.バードウィング(Bird Wing)
翼の模様。シェブロンに対して垂直方向に、レーキでゆるい波線を描き、逆からも交差するように波線を描く。


5.ピーコック(Peacock)
クジャクの羽の模様。互い違いで平行に細かくコームを入れたあと、2本のレーキで垂直方向に波線を描く。


6.ブーケ(Bouquet)
花束の模様。細かいノンパレイルに対して平行、かつ同一方向に2本のレーキで波線を描く。


7.フロッグ フット(Frog Foot)
カエルの足模様。リバースブーケとも。細かいノンパレイルに対して平行、かつ逆方向から2本のレーキで波線を描く。


8.ウォーターリリー(Water Lilly)
スイレンの模様。ティスル(Thistle):アザミとも。シェブロンに対して平行、かつ同一方向に2本のレーキで波線を描く。


9.フレンチ カール(French Curl)
渦巻き模様。Escargot(エスカルゴ=かたつむり)とも呼ばれる。レーキでくるくる描く。


-ケーブル カール(Cabled Curl)
四角く囲んでからフレンチカール。レーキで縦横に櫛目を通したもの、またはシェブロンに対してレーキでくるくる描く。


ポーリングアート×エブル技法 うまく描くポイント
ポーリングアート×エブル技法をきれいに仕上げるためのコツや注意点をいくつかご紹介します。
メリハリのある色を選ぶ
コームを何度も通すデザインは、徐々に色が混ざっていきます。似た色ばかりだとせっかくのラインがぼけたり、ぼんやりした印象の作品になりやすいです。(それも悪くはないのですけどね!)




ポーリング液は多めに広げる
液量が少ないと、コームの跡が残りキャンバスが底見えしてしまいます。
キャンバスにはたっぷりめに注いでおいてください。
細かめに絵の具を散らしてスタート
絵具の色が広い範囲で同じだと、コームを通しても変化が乏しくなります。(それも悪くはないです!笑)
細かく散っていた方が、一度のコームでガラッと印象が変えられ面白いと思います。
粗いコームを使う場合、何度か通す
水上のマーブリングと違って、ポーリング液はコームを通しても絵具の伸びが少なめなため、とくに粗いコームでは櫛目が目立たないことがあります。
何度か同じ軌跡でコームを通すことで、エブルらしい模様に近づけられます。
粘度に合わせたスピードにする
とくに細かいコームを使う場合は、コームを寝かさず立てて、ゆっっっくりと慎重に動かすのがおすすめです。
速く動かしすぎると、絵具がコームに過剰に持っていかれて、デザインが崩れやすくなります。
キャンバスから垂れる雫を切る
描き終わった後にキャンバスの縁から絵具が垂れている場合は、雫を取り除いておきましょう。
そのままにしておくと、乾くまでに絵具が下に引っぱられ、デザインがそちらに流れやすくなります。
ポーリング液のダマをなくす
ポーリング液にダマがあると、コームに引っかかってしまってこちらもデザインが崩れる原因になります。
もしダマを見つけたらその時点で取り除きましょう。
かためのタイプの絵具を使う場合、ポーリング液の調合は絵具から始めて、ダマにならないよう少しずつなじませてください。
まとめ:ポーリングアート×エブルのコーム技法で新しい表現を楽しもう
ポーリングアートは、日々新しい技法が生まれる進化するアートです。
今回のコーム技法ではエブルの9種類のパターン模様をご紹介しましたが、もっと自由に、フリースタイルのデザインを楽しむのももちろんOK。


ポーリングアートをもっと楽しむための新しい切り口として、ぜひコームも取り入れてみてくださいね。
おまけ:エブルのコーム技法×ポーリング液レシピ&画材比較
エブルのコーム技法用ポーリング液レシピ
結構目分量ですが、目安のレシピは以下の感じ。
あまりゆるいとデザインを作った後、乾燥を待つ間に流れやすくなるため、気持ちかためがおすすめです。
●フロートロール:ヘビーボディアクリル絵具:水=4~5:1:0.05
●ポーリングメディウム:ヘビーボディアクリル絵具=10:1:0.07
今回使った画材の比較
ダイソーとセリアのキャンバス
枠がセリアはMDF、ダイソーは木材。どちらも段差への配慮は無し。(木枠に角度が無く、木枠とキャンバス天面が密着)セリアのものの方がしっかりした作り。
フロートロールとターナーのポーリングメディウム
※5年ほど前に数回使って放置していたフロートロールは、透明に分離。よく混ぜたら使えたけど、ドゥルドゥルした膜が生成されてました。
ターナーのポーリングメディウムと比較して、フロートロールの方が軽い使用感。炙ると細かなセルが少しできる。乾くとセミマットな仕上がり。気泡が抜けやすく作業性が良いです。
ターナーの方がにおいがキツい。
ヤセが少なめで乾いてもボリューム感(塗膜の厚さ)がしっかり残る。時間をかけていると、ねっちりしてきてコーム跡がハゲやすい。




▽エブルのコーム技法、レジンに取り入れたものはこの記事の下の方に載せてます^^

