作品展示レイアウト11選!壁にたくさんの絵画をセンス良く飾る方法

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Aさん

作品の壁展示バランス
これでいいのかな…?

Bさん

壁ディスプレイ
センス良く見せたい!

著者Asami

展示のコツ
学びましょう!

初めての展示会、いざ作品を並べたらなんだかしっくりこない…レイアウトこれで合ってる?そんな風に思ったことはありませんか?

基本的には作家さんの自由でどんな形でも間違いではないのは大前提ですが、ゼロ知識だと慣れるまで設営時間もかかりがち。

そして、展示レイアウトが正しく決まっていると、見やすくなるだけでなくメッセージ性を伝えたり、会場全体の雰囲気づくりに繋げることもできます。

今回は思い通りのディスプレイができるようになるために、壁にたくさんの絵画やフレームを飾るレイアウトの種類やポイント、実際のやり方を押さえていきましょう。

この記事はこんな方におすすめ

・壁面インテリアをセンス良く飾りたい方

・販売時の壁面ディスプレイにお悩みの方

・展示会が控えているアーティスト・作家さん

・展示の型の正解を知りたい方

↓目次から気になるところへ飛べます

Contents

異なるサイズの作品をたくさん飾る!サロン型の種類

まずは限られたスペースにたくさんの作品を飾る、サロン型レイアウトの種類とポイントからご紹介します。

ギャラリーに限らずご家庭やイベントでのウォールディスプレイなどにも役立つ展示スタイルですね。

広く役立てたいシーンがある一方で、一番頭を悩ませるのがこの形

ランダムに見える配置でも全体のバランスを考えることが重要なため、「なんかしっくりこない」が起こりがちです。

すっきり美しく見せるためのいくつかの種類とポイントを押さえていきましょう。

ホリゾンタルライン(地平線)

様々なサイズの作品が混在しているときに、一番簡単にまとまりを出せる比較的カジュアルな飾り方です。

センターになる横軸を決め、そこに対して下ぞろえ・上ぞろえになるように、間隔を同じにして作品を並べます。

サイズの差があまりに大きいと凸凹が目立ち、ちぐはぐな印象になりやすいため、おおまかに似たサイズ感の作品がたくさんある場合におすすめです。

グリッド(格子)

グリッド型レイアウトは、もっとも正統派の、作品を規則正しく縦横に並べる形です。

グリッド型で配置された絵画

こちらは同じサイズの作品が複数あるときに取り入れたい展示スタイルです。

すべての作品が均等な間隔で整然と配置されるため、無機質な分、作品自体をより強調しプロフェッショナルな印象を与えることができます。

美しく見せるポイントとして、作品同士の間隔をきっちり均等にするようにしましょう。

また、フレームを使う場合はそれ自体も統一した方がより洗練されます。

センターピース(中心作品)

メインにする作品や大きな作品が1つあるときに使いやすいレイアウトです。(冒頭のサロン型紹介の画像もこの形)

大きな作品を中央に置き、小さな作品をその周りに配置することで、ナチュラルな一体感を生みだし、作品空間の広がりを感じさせることができます。

すっきりと見せるポイントは大きな作品の延長線のグリッド(画像の黄色線部分)を活かすこと

中心作品の縦か横、もしくはどちらもの延長線に沿ってまわりの作品を配置すると、ごちゃついて見えるのを抑えられます。

シンメトリー(左右対称)

シンメトリーレイアウトでは、縦の中心線から左右対称になるように額縁を配置します。

センターピースを含む複数点の絵画をシンメトリーに配置
センターピースあり
シンメトリーに絵画を複数点配置
センターピースなし

同サイズの作品がおおまかに2点ずつある場合におすすめの形です。

このレイアウトは整然とした美しさを生み出し、鑑賞者に安定感や調和、均整のとれた雰囲気を感じさせます

こちらも額縁の延長線のグリッドを合わせることや、すき間の幅を整えることを意識するとごちゃつくのを抑えられます。

レクタングル(長方形)

レクタングルのレイアウトでは大きな長方形の外枠を設定して、その中に作品を収めます。

レクタングルに作品を収めた配置図

こちらはサイズや印象がバラバラな作品がたくさんある場合にオススメです。

枠内は自由に配置できるため、アバンギャルドな雰囲気や個性的な雰囲気を出したい場合にも向き、作品に満遍なく目線がいくようにできます。

シェブロン(ジグザグ)

シェブロンは作品を上下でジグザグに配置するスタイルです。

こちらは時系列やストーリー立てた表現がしやすいレイアウトで、順を追って見せたいシリーズや、テーマ性のある連作などに向きます。

また物理的なメリットとして、寄せても詰まって見えにくいため、作品同士のすき間を少なくでき、まっすぐ一列にするよりも省スペースで飾ることができます。

ウィンドミル(風車)

ウィンドミルレイアウトは同じくらいのサイズの4つの作品を縦横に並べたもの(赤線の作品たち)を中心にして構成します。

中央から放射状に広がるため、視点が自然にレイアウトの中心辺りに集まります。

これによって、視覚的な焦点を作りやすく、鑑賞者の目をこの展示群に引きつけることができます。

作品点数4点だけでも成立するレイアウトですが、画像のように数を増やす場合、中心からのグリッド線に沿って並べるとまとまりが出ます。

王道中の王道!ライン型と飾り方のポイント

ここまでは限られたスペースに多数の作品を飾るという悩みやすいシーンのレイアウトをご紹介してきましたが、やはり畏まったシーンで求められる正統派の王道スタイルも外せませんよね。

王道の展示の基本を押さえると、サロン型のレイアウトの数々もより作りやすくなります。

早速チェックしていきましょう。

ストレートライン

もっとも王道なゴールドスタンダードは直線的なラインを設定して展示する方法です。

一番王道なレイアウト

このレイアウトはシンプルでありながら作品を一点ずつ効果的に見せることができ、視線が自然と誘導されるため、見ていく順番をコントロールできます。

ラインはどの高さに設定する?

ライン型の場合大切になるのがラインの高さをどこに設定するかということ。

一番に考えるのは鑑賞者の目線の高さで、145㎝を基準にすると良いとされています。

この数字は、身長・目線の高さ・見る角度・鑑賞物との距離などを踏まえた平均として最もストレスなく見られるよう設定されたものになっています。(人の目線の高さ自体は身長-10㎝前後ですが、何気なく楽にものを見る時、目線は水平ではなく少し下に下がります。)

なので、事前に鑑賞者の性別や世代などが分かっていればその方々の身長に合わせたり、座って眺めるような場所の展示であればその目線の高さや距離感に合わせるなど、鑑賞者がストレスなく見られる高さに調節しましょう。

絵はラインのどこに合わせる?

高さのラインを設定して、いざ絵を掛けようとしてふと悩むのが絵のどこをラインに合わせるかだと思います。

並べ方でもっともスタンダードなのは、フレームの中心をラインに合わせる、中心ぞろえです。

これが一番目線の無駄な動きを少なくできるからです。

別な意図を持たせて上ぞろえや下ぞろえを選択する場合もあるので、それらは後述しますね。

作品同士の間隔は?

飾る高さと作品のそろえ方が決まったら、次に悩むのが幅の取り方だと思います。

ライン型で展示する時の作品同士の間隔については、作品が大きければ広く、小さければ狭くするのが一般的です。

これは実際に見ていただくと分かりやすいです。

作品同士の間隔が均等な時
均等な間隔
作品サイズに合わせた間隔にした場合
作品サイズに合わせた間隔

大きな作品の場合、間隔が狭いと窮屈な印象になってしまいます。

反対に小さな作品で間隔を広くとると、一点の存在感や個性は増す一方で、全体の印象が寂しくまとまりのないものになりやすいです。

正しい間隔にすると作品が互いに干渉せず、それぞれの特徴をしっかりと引き立てることができますし、鑑賞者が集中して作品に向き合える空間が生まれます。

ストレートラインで展示する場合は特に、サイズに合わせた間隔を心がけたいですね。

よりカジュアルに!インテリアや建築造作を活かす

正統派の展示会の他に、カフェやご自宅などの、インテリアや建築造作(作りつけ)などがあるようなシーンで少なめの作品点数で飾る場合のポイントもご紹介します。

インテリアや作りつけがある環境では、リレーションを考えると作品の配置を決めやすくなります。

リレーションとは日本語では「関連」を意味し、もの同士のつながりを指します。

インテリアから明り取りの窓をつなぐレイアウト

もともとあるインテリアや小物、作りつけを活かしたディスプレイにすることで、少ない作品点数でもバランスを取りやすくなりますし、空間全体に統一感が生まれます。

リレーションを活かしやすい型もいくつかご紹介します。

オブリーク(斜め)

斜めのラインを設定し、それに沿って間隔をそろえて配置します。

冒頭の画像もこの型でしたが、他にこの型を特に活かせるのが階段の壁です。

階段の傾斜に合わせてラインを設定し作品を配置することで、目線の移動に合わせて自然な流れで順を追って作品を見せることができます。

また、階段を上り下りすることで鑑賞者の視点が変わるため、作品を異なる角度や高さから見せることもできます。

見る角度で表情が変わる凹凸感のある作品の展示時系列のある連作にも向きます。

ベースライン(下ぞろえ)

低めの位置にラインを設定し、下ぞろえで作品を配置します。

棚キャビネットや腰壁がある場合、そのラインから近いところで下ぞろえにすると収まりが良い印象になります。

下にあるものが安定感を補ってくれるため、作品サイズがかなりバラバラだったりこまごましていても、まとまって見えやすいです。

とくに目線が低くなる、座って過ごすようなシーンの展示におすすめです。

グラウンド(地面)

作品を直置きするスタイルです。

インテリアとのリレーションによって直置きの唐突感を無くし、自然なつながりを持たせることができます。

インテリアがある時
インテリアがない時

直置きスタイルは鑑賞者がかがんで見ることになるため、作品を個別に感じ取るような対話関係を生みやすいです。

また展示全体の印象に、親密ながらもミニマルで洗練された雰囲気を加えられます。

ある程度大きめ、かつ、独立した作品がある時におすすめの展示スタイルです。

覚えて損なし!テクニック

ここまで展示スタイルの種類やそれぞれのポイントについて解説しました。

ほかに、全てのレイアウト組みや展示に役立てられる、覚えて損なしなtipsをご紹介します。

掛けたい位置からズレる…微調節なしで一発で決める方法

高さのラインやレイアウトを決め、いざ壁に作品を掛けたら微妙にズレて全然決まらない!ちょこちょこいじって時間がかかる!そんな悩みを解決する方法をご紹介します。(配置図自体は床やパソコン上などで事前に検討しておきましょう。)

展示での作品配置はいきなり壁に作品を掛けるのではなく、測って目印をつけてから行っていきます

この時に気を付けたいのが壁掛けのために作品裏に渡した紐のたわみ

※紐の取り付け方はこちらの動画↓

紐のたわみを考慮せずに印をつけてそのまま掛けると、たわみの分、掛けたかった位置から下に下がってしまいます。

紐のたわみで何cm下がるかを考慮した位置に印をつけること

一見めんどくさそうですが、これをすることで掛けた時に狙った位置にバシッと決めることができるようになります。

用意するのはフック以外にメジャーと、ふせんやマステなど目印として貼れるものとペン。

手順は以下の通りです。

例)高さ20cmの作品を145cmのラインに対して中央ぞろえで壁掛けする

完成図
STEP
展示する壁に高さのラインの印をつけ、作品上部には中心点の印をつける。
STEP
壁のラインに、作品の半分の高さを足した位置をマークする。
STEP
フックに掛けた場合を想定して、作品を軽く持ち上げ、どのくらいたわむか測る。
STEP
壁の方のマークから、たわみの分下がった位置にさらにマークする。
STEP
マークした位置に、フックを取り付ける。
STEP
上部の中心点マークに合わせて絵をフックにかける。

これで完成です。

慣れてしまえば、(高さのライン+作品の半分の高さ-紐のたわみ)でフックの場所をマークできるので、勘でやるよりも早く設営できますよ。

印象変わる!高さが与える心理的視覚効果

高さについては目線に合わせる以外に、高低を意図的に変えて、作品の印象を操作することもできます。

心理的な視覚効果として、高い位置にあり見上げるものは、威厳のあるものや高価なものとして映りやすいです。

例)宗教的絵画、ご先祖様の写真、賞状など

一方低めの位置では、親しみやすさやなじみやすさを抱きやすい傾向があり、親近感を持たせやすくできます。

例)子どもの絵、家族写真、似顔絵など

これはサロン型レイアウトでどこにどの作品を置くか考えるときのヒントにもなりますよね。

作品ををどんな印象に見せるのか、高さも味方にできることをぜひ覚えておいてください。

統一感の演出に!グルーピングを意識する

グルーピングとはグループをつくること。

レイアウトを工夫する以外に、画風や制作技法、作品の色やトーンなどを合わせてグルーピングすることでも統一感を演出できます。

pCCSトーンマップ
PCCSトーンマップ

グルーピングを意識すると、異なるテーマの作品でも一体感を持たせやすくなります。

どうしてもレイアウトがうまく組めない、形が取れない時は、それに頼らないまとめ方があることも知っておくと、気持ちが楽になりますよね。

まとめ

センス良く見えるレイアウトの型を押さえることは、自分の作品を最大限に引き立て、さらに展示全体の雰囲気をつくる上でも大切なスキルです。

サロン型、ライン型、リレーションに向く型など、さまざまなレイアウトを理解して作品を効果的に見せていきましょう。

また、ご紹介した型は必ずしも単独で使わずとも、組み合わせてもおもしろいです。

自分の作品を最も輝かせるレイアウトを見つけ、ぜひ次の展示に活かしてくださいね。

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