アルコールインクアートのUV退色&レジン変色実験

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アルコールインクアートは退色しやすい。効果的な対策はあるか?実験

アルコールインクアートにもよく使われるコピックは、色成分に染料を使用しており、鮮やかで透明感のある発色に優れる一方で、非常に退色しやすいという難点があります。

 

●コピックのメーカー .Tooさまのよくある質問ページ

コピックは退色しますか?

 

とくに、アルコールインクアートでは耐水紙を用いるため、染料のほとんどが紙に染み込まず表面に乗っているだけの状態です。

 

さらに、元のインクをアルコールで伸ばして広げるため、薄付きで紫外線の影響を非常に受けやすくなっていると予想されます。

 

 

一般的に絵画のUV対策には何ができるかというと、

・紫外線をなるべく避けて飾る

・UVカットスプレーの使用

・UVカットアクリル製の額に入れる

・額にUVカットフィルムを貼る

 

などの方法がありますが、いずれの方法も染料のコピックでは顔料絵具ほどの耐光性や効果は期待できないことは、当然のこととして知っておく必要があります。

 

加えて、UVカットスプレーの使用について、コピックのメーカーの.Too様は非推奨のようです。

 

そういった事を踏まえて、今回はアルコールインクアート時のコピックの色ごとのUV変色を知ること、そして少しでも効果的な対策を見つけることを目的にして、手持ちの78色で退色実験をした結果をまとめます。

 

⚫コーティングの面からスプレーを比較検討した記事

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実験方法

条件

南向きの縁側の窓際と、明るいリビング

 

・UVカットスプレー3度がけ

・UVカットアクリル板でカバー

・レジンを部分塗布

 

の3パターンを施した各色のアルコールインクアートを設置して経過を観察。

 

比較対象用に日が当たらない場所に何もしないままの色見本も設置します。

 

使用品

紙はアルコールインクアートではもっともポピュラーと思われる、ユポ紙です。

 

UVカットスプレーはコチラのものです↓

室内紫外線カット率99.5%と謳われていること、適用範囲が広かったこと、2度がけ以上でも効果は1度がけとほとんど変わらないと明言されていたことからこれにしました。

 

UVカットアクリルは額縁用のコチラのものです。

室内紫外線であれば98%カットできるようです。

 

部分塗布したレジンはアートレジン社のエポキシレジンを使用しました。

[rakuten id=”ilovesmart:10013935″ kw=”アートレジン”]

ニ液性のレジンで、UVではなく化学反応で24時間かけて硬化します。

普段使用していて色の変化を感じることがあったので、合わせて実験することにしました。

 

レジンを塗布していない部分が、UVを直接浴びた被験体ということになります。

 

 

実験色

手持ちの78色です。

左上BV群から右へV群、RV群…とコピックカラーシステムの色並び通りにしています。

最初の頃フィーリングのみで色選びをしていたので、かなり偏りがあります^^;

 

経過①レジン硬化後と、設置1日目のレジン部の色変化

エポキシレジンの硬化直後にレジン部のみ変色が見られた色がありました。

 

また、縁側設置1日目にしてレジン部に目に見える変化があった色もあり、それぞれ白文字で記載しています。下に簡単にまとめます。

 

硬化後に変化があった色

BV17・・・・・赤みが少し抜け水色っぽく

Y11・・・・・・退色(かなり薄く)

G17・・・・・・黄色みが抜け水色っぽく

B32・・・・・・退色(かなり薄く)

B32以外のB群・・赤みが抜け水色っぽく

 

レジン硬化後の色変化は多分硬化時の化学反応の影響によるもので、やはり変色する色があることが分かりました。

B群の一部で色が変わりやすい傾向にあるようです。

 

縁側設置一日目でレジン部に変化があった色

BV31、BV34・・・・・青みが抜けピンクっぽく

 

レジン部で1日目にして退色してしまったのは想定外でした。

夏真っ盛りの頃だったので、熱によるものなのかもしれませんが、レジンが退色や変色を早めてしまう場合があることが分かりました。

 

特にBV群の一部で色が変わりやすいようです。

 

経過②二ヶ月後の様子

各条件で設置していたものを1枚絵に戻しています。

 

↓のような配置になっています。

 

各色の変化

●動画で見る

各色の変化一覧

   

リビングに設置していたものはほとんど変化がないか、変化していてもわずかです。

 

ですので、縁側の窓際設置の3つ(紙の上段部分)にご注目ください。

 

※リビング設置の物もいずれはこのような退色経過を辿ると思われます。

 

 

退色・変色が著しい色

コピック退色実験、レジン部の変色BV28,BV34,BV31,bv23,bv17,bv08,bv02

BV000とBV11を入れ忘れてしまってました;BV02は一つ紛失しました。

RV10,RV21,R02,R20,R32,Y11,B32,B60,E02はほぼ消失してしまいました。

末尾の数字が小さいもの(0~2)の中には消えてしまうものがあることが分かりました。

BV系はピンクになるような変色が目立ちます。

 

⚫コピックの色の見方と色選びについてはこちら

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W3とW8は分かりづらいですが、赤みがすっかり消えてしまっています。

 

UVカットスプレー・UVカットアクリル板・レジンの効果

一枚絵の上段左側部分のUVカットスプレーについては、ほとんど効果がないか、あっても限られた数色だけの印象です。

 

一枚絵の上段真ん中部分のUVカットアクリル板については、多くの色で退色を遅らせていると言えそうです。

 

レジン部に退色・変色があった色一覧

BV17,B37,N8のように元の色とかけ離れた印象に変色してしまうものがあることが分かりました。

どれも緑がかった色になっていて、何かの染料が化学反応している気がします…

 

ですが少なくない色でレジン部のみ退色が防げていることも分かりました。

 

⚫レジンの影響はコーティングスプレーで抑えられました!

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まとめ・感想

アルコールインクアートのコピックの退色について、末尾の数字が小さな(0~2)明るい色では退色して消えやすいものが多い傾向にあることが分かりました。

B9のグループやNaturalGrayのグループなど、濃い色や暗い色でも変色しやすい色もありました。

 

この辺りは色さえ覚えたら避けたり混色したりして変化をマイルドにする事も出来そうです。

 

UV対策について、UVカットスプレーの効果は限られた数色でわずかでした。

 

UVカットアクリルは比較的多くの色で退色を遅らせていました。

 

私は今後も今まで通りUVカットスプレーは使わないつもりですが、販売作品についてはお客様のご希望があれば使うようにしていきたいと思います。

 

 

エポキシレジンではひどい変色を起こすものが数色ありましたが、色によっては退色をとても遅らせられる効果が期待できることが分かりました。

 

こちらはレジンをかける予定の作品では変色を起こす色は使用を避けるのが無難かなと思いました。

 

また作品によってはレジン以外のコーティングを考える必要性も感じました。

 

さいごに

いかがでしたか?

 

私の所有色がかなり歯抜けで、退色・変色を読み切れないのが残念ですが、一部だけでも今後の作品製作やUV対策の手がかりになればと思います。

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