アートパネルの側面塗装と塗料選びについて
アルコールインクアートやレジンアートをした木製パネル。
作品らしくなったけど、部屋との調和やアート面との完成度差などの面で、白木のままの側面が気になる…。ということがでてくると思います。
●木製パネルへのアルコールインクアートの貼り付け方はこちら

もちろん白木のままの良さもありますが、さらにこだわりたい方は塗装をするのもおすすめです。
今回は、塗料のトの字も分かっていなかった私が、木製アートパネルの側面と、水のかかる木製コースターに塗ることを目的に選んだ塗料と、さまざまな塗料の特徴や違い、選び方についてご紹介します。
・アートパネルの側面塗装に悩んでいる
・塗装について何を選べばよいか右も左も分からない
・木製の作品のコーティングに何を使えば良いか知りたい
塗料選びのポイントについての前置き
まず前提として塗料は使い勝手や仕上がりで選ぶ必要があります。
この記事では使い勝手って?仕上がりにはどんな種類が?という所を重点的に解説していきます。
最終的には、ご自身の希望に合わせた塗料が選べるようになることを目指してみてください。
↓↓↓塗る前に行う下処理とキレイに仕上げる塗り方のコツの記事はコチラ

アートパネル側面と、木製コースターの塗装。それぞれのおすすめタイプ


小難しいことはいいから結論だけ知りたい!という方のために、最初に結論を書いておきます。
私のおすすめは、耐水性が求められるコースターではアクリルペイント+ウレタンニス(クリア)。
木製アートパネルでは、単体使用ならアクリルペイント半ツヤ(サテン)です。

これを読んで暗号に見えた方。大丈夫です。
この後の記事を読めば何を指しているか分かるようになります。笑
アートパネルやコースターに使う塗料の選び方
まずは選ぶ上で、どんな選択肢があるか詳しく見ていきましょう。
使い勝手
一つ目は使い勝手の面です。以下に使い勝手に影響する項目をまとめました。
水性or油性
塗料には、水で薄めることができ、使った道具も水で洗える水性と、専用うすめ液で薄め、道具もそれで洗う油性があります。
油性は臭いがきついものが多いですが、仕上がりや機能性に優れます。
ただし、近年は水性でもほとんど遜色のない性能のものが出てきています。
家の中で簡単に作業したい方や、ペットや幼いお子様が同室にいる環境の方は、取り扱いが楽で比較的臭いも控えめな水性がおすすめです。
塗り方
塗り方には、筆やハケで塗る、布ですり込むように塗る、スプレーするなどの方法があります。
木製アートパネルやコースターでは基本的に筆や刷毛で塗るタイプ、または布で擦りこむタイプがオススメです。
塗る面が繊細で、布でこすったり刷毛で触れないような場合はスプレー一択となりますね。
スプレーをする時は、ガスを吸飲してしまわないように屋外でやるか、換気を非常によくする必要があります。
また、周りが汚れると困るなら「塗装ボックス」を使用するなど囲いをする必要があります。
サイズ
サイズは小容量~業務用まであります。
大容量の方がお得ではありますが、早く使い切ることや収納スペースを考えると、最初は小容量のラインナップがあるものが安心ですね。
乾燥時間
乾燥時間は温度や湿度の影響を受けますが、おおむね水性塗料は約30分~2時間、油性塗料は1~5時間です。
※内部まで完全乾燥するのには2週間近くかかります。
時間に追われている方は、ぜひ乾燥時間にも着目してみてくださいね。
仕上がり
これがとても重要ですよね。
目指したいあの感じにするにはどんなものを選べばいいのか?そこが分からない…!という方に、仕上がりの面から選ぶべき塗料をご紹介します。
※(油性)と無い限り水性について書いています。
木目を活かすか
木目を活かしたいか、カバーしたいかが最初の選択です。
木目を活かす場合に選ぶのはステイン・ワックス・ニスです。以下に特徴をまとめました。

・ステイン···木に色を染み込ませるもの(クリアーもある)。シャバシャバ。
・ワックス(油性)···着色(クリアーもある)と保護とつや出しをするもの。蜜ろう由来。半固形状で布等で塗る。
・ワックス入りステイン···ワックス成分の入ったステイン。シャバシャバ。
・ニス···木の表面に透明な樹脂の膜を作るもの。いくつか種類がある。アクリル系<ウレタン系<アクリルシリコン系の順に強度が上がる。その他ラッカー(油性)も。
塗ってみた感想として初心者にはカラーニスよりステインの方が断然きれいにムラなく木目を出しやすいです。

一方で木目を隠したい場合に選ぶのはアクリル絵具やアクリルペイントです。
※ペイントにはウレタン系やラッカー系もありますがここではアクリル系のみ、また水性品でご紹介しています。
・アクリル絵具···色のついた塗膜をつくる。アクリル絵具には透明色・半透明色・半不透明色・不透明色があるため、購入時に確認を。全て不透明で高顔料なものはアクリルガッシュ。ガッシュはツヤの無い仕上がりで厚塗り時はヒビ割れしやすい。
・アクリルペイント···アクリル絵具と基本は同じだが、塗りやすさや機能性(安定性や安全性)に特化。
塗ってみた感想として、アクリル絵具よりアクリルペイントの方が伸びが良く、はるかに塗りやすかったです。

木の手触りを残すか
ナチュラルな印象に仕上げたい方におすすめなのが、木の手触りや温かみを残すタイプです。
木の手触りを残したい場合に使うのはステインやワックスです。


このタイプにはデメリットもあり、木の手触り=塗膜が無い(または薄い)ということなのでキズ等には弱くなります。
強くこすると色落ちすることもあります。
またワックスの場合、本来定期的に上塗りしてコンディションを保つ使い方が良いとされています。
木の手触りを残さない(塗膜をつくる)場合に使うのはアクリル絵具やペイント、またはニス、またはそれら両方の重ね塗りです。



木の手触りを残さず塗膜を作るタイプは防汚や耐キズ等にも優れます。
デメリットは、もし劣化して塗り直す時には、前に塗られていたものを一度全て剥がす必要がある点です。(剥がれかかったペンキの上に、そのまま新しいペンキを塗ることができない、と言えばイメージしやすいでしょうか?)
つやの種類
つやの種類には、つやアリ(グロス)、半つや(サテン) 、つや消し(マット)などがあります。
以下がそれぞれのタイプの基本のつや感です。
・ステイン···ツヤ消し。
・ワックス···柔らかな半つや。
・ワックス入りステイン···微つや。
・ニス···つやあり。※半つや、つや消しタイプもあるので好みで選ぶ。塗り重ねる回数でもつやを調節できる。(薄塗りだと塗膜が薄いので強度等は落ちる)
・アクリル絵具···つや消しか微つや。つやを出したければジェルメディウムを混ぜ込むか、バーニッシュ(アクリルニス)などでコーティング。
・アクリルペイント···つや消しか微つや。ブランドによって半つやタイプ等も。
つや感については、ホームセンターに行くと塗り見本が置いてある場合が多いので、実物を見て比較するのがおすすめです。
色味だけでなく、つや感をチェックすることも忘れないようにしましょう。
つやを強めたい場合、ニスの重ね塗りで調節するのがオススメです。

用途と強度
作品の用途に応じた塗膜強度が必要になる場合がありますよね。
各種ニスや塗料の強度目安や特徴については以下のようになっています。
アクリル系···ウレタン系より塗りやすいが、傷や凹みができやすく置き物に向く。
ウレタン系···机やイスなど実用品にも使える強度。木製食器に使える安全性のものも。
アクリルシリコン系···外壁にも使える強度。
ラッカー系(油性)···乾きがとても早く丈夫。水性ペイントへの上塗りはNG(下のペイントを溶かしてしまいよれたりべタついたりする)
アートパネルやコースターに使う場合、アクリル系の強度で問題ないかと思います。
安全性
その他に見ておきたいポイントに安全性があります。
VOC(シックハウス症候群の原因のひとつ)フリー、F☆☆☆☆(ホルムアルデヒドの分散が少ない)、食品衛生法適合、天然系成分を主成分としているなどといった人や環境にやさしく作られているものもあります。
飲み物の近くで使うコースターでは特に、食品衛生法適合商品が安心ですね。

各種塗料の耐水性実験
コースターなど水もかかる使い方をする場合は耐水性も欲しいです。
私は何も調べず塗装した木製コースターが無惨な姿になってしまったことがあります。

夏場、結露した冷たい飲み物が常に置かれるような状況だったコースターの裏面です。
この頃は塗装の基本も知らず、やすり掛けもナシでただワックスを塗っただけでした。
こんな失敗をしないために、簡単な耐水性の実験をしてみました。
方法
それぞれ塗装したものに水を垂らして30分放置(飲み物を1杯ゆっくり飲み干すのを想定)して、その後拭き取り、吸水具合を目視や手触りで確認。
BEFORE


AFTER


※写真が分かりづらくてすみません。
塗料の耐水実験結果とまとめ
しっかりした耐水性を求めるならニスを塗った方が良さそうでした。
以下がそれぞれの水滴を落とした直後と30分後の結果です。
・白木···すぐに全て吸い込む。→すでに表面は乾いて見える
・ステイン···水滴が広がる→吸い込む
・ワックス···撥水する→吸い込む(以降水濡れして吸い込んだ部分は手触りが変わる)
・ワックス入りステイン···水滴は広がらない→吸い込む
・アクリル絵具、アクリルペイント···水滴は広がらない→吸い込む?表面が少し湿ったような状態
・ニス系···撥水する(アクリル<ウレタン<ラッカーの順に強力)→吸い込まない(触っても湿り気なし)
※ラッカーは比較参考用
ワックスは撥水しますが、時間経過で吸水してしまいました。
アクリル絵具、アクリルペイントは乾けば耐水性とは書いてありました(拭っても色落ちはしなかった)が、吸水は見られました。
まとめ:あなたはどれを選びますか?
塗料は、仕上がりや使用環境、作品用途などに合わせて選ぶ必要があります。
あらためて私のおすすめは
コースターにはアクリルペイント+ウレタンニス(塗膜を丈夫に。耐水性を持たせる)
アートパネル側面には、単品なら水性ペイント(テカテカし過ぎないつやと防汚)です。
▽今回の使用品・おすすめ品
アクリルペイント:GRAFFITI PAINT
VOCフリーでF☆☆☆☆。環境にも人体にも配慮されたものです。
・ツヤ消しの仕上がり

・クリアコーティング グロス仕上げ

ステイン:カンペハピオ
シックハウス対応かつ食品衛生法適合品です。

ウレタンニス:和信ペイント
こちらも同じくシックハウス対応かつ食品衛生法適合品です。

塗料選びは、違いが分かれば楽しくなります。
ぜひイメージに合う塗料を選んで、作品をさらに素敵にランクアップさせましょう。
●ゴールドに塗装したい方はこちらの記事
