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アルコールインクアートとコピックインク
日本のアルコールインクアートで最も多く使用されているのがコピックインクです。
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コピックインクは色数が358色もあり、選ぶ楽しみがある反面、アルコールで広げた時に似たような色になるものや、作りたい作品のイメージと違う色を選んでしまうといった色選びの失敗をしがちです。
また、実はアルコールインクアートをする上であまり向かない色もあります。
私がアルコールインクアートをやりながら学んだ特徴や、アルコールインクアート目線で見たコピックの色選びのポイントをご紹介していきます。
※このページはできればコピック購入前に見てもらいたいですが、すでにコピックをお持ちの方でも次回の購入や作品作りのヒントにはなると思います。
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コピックの色(カラーシステム)の見方
コピックの色体系には、コピックカラーシステムという名前が付けられています。
まずはこれを押えて色選びの理解を深めましょう。
コピックの色は英語の色名、アルファベット、数字で表現されています。
それぞれについて見ていきます。
英語名
コピックの英語の色名は実際の色にとてもしっくりくるものが多いです。
色の雰囲気が掴みやすいので、英語に明るい方はぜひ色名を第一に見てください。
アルファベット
アルファベットは大まかな色の分類を表しています。
Blue(ブルー)→B、Violet(バイオレット)→V、Blue Violet→BV(ブルーバイオレット)という具合で、2つアルファベットが入ったものは中間色です。
R=レッド、Y=イエロー、G=グリーンときて、「あれ、Eって?」となります(笑)
EはEarth、茶系統のアースカラーがまとめられています。
灰色は4タイプあり、C=クールグレイ、N=ニュートラルグレイ、T=トナーグレイ、W=ウォームグレイです。
それぞれ色の雰囲気に違いがあり、大まかにCが青み、Wが赤みがかっています。アルコールで伸ばすとそれらの色がうっすらと現れます。
数字①
アルファベットの隣の1桁の数字は色の系統を表していて、0から9まであります。
0から3にかけてはアルファベットが表す色が段々くすんでいきます。
B(ブルー)を例にすると、0が一番青らしい鮮やかな青、3がくすんだ青です。
4から9は赤みや黄色み、青み、茶色み、灰色みなど他の色が少し足されたような色になります。
※Eだけはこの限りでないです。
こちらもB(ブルー)を例にすると、4から9には赤みが足された紫寄りの青や、灰色みが足された暗い青など様々な青があります。
数字②
残りの数字は色の濃さを表し、000から9まであります。
ざっくりと、数字が小さいほど薄く、大きいほど濃いです。
濃さの基準はN(ニュートラルグレイ)の00~10になっていて、カラーの色の番号はこれより1つずつ小さくなっています。
こちらもBを例に出すとBの下1桁が9の色はニュートラルグレイの10と同じくらいの濃さという見方になります。
※薄めて使用することが多いアルコールインクアート時の体感としては、この濃さの通りでなく仕上がる色もあります。
色選びのポイント
コピックの色を買う時や作品に使う時の色選びについて、カラーシステムを活用する場合は数字②(色の濃さ)→数字①(系統)→アルファベットの順で絞っていくのが選びやすくておすすめです。
具体的にどうすれば良いか以下でご説明します。
作りたい作品のイメージに沿って選ぶ
色選びは自分が作りたい作品をイメージして行いましょう。
作品イメージが湧かなかったら、自分が好きな雰囲気でも良いです。
いくつか例を挙げます。
スッキリと鮮やかに仕上げたい
・数字②(色の濃さ)は4~6くらいにする→薄すぎず濃すぎない色
・数字①(系統)は0系や小さい数字にする→くすみのないストレートな色
・アルファベット1字のもの→ベースの色数を抑える
ダークな色合いでシックに仕上げたい
・数字②(色の濃さ)は7~9くらいにする→濃い色
・数字①(系統)は3~9の中から選ぶ→明るく鮮やかな色は除外
・E(茶系),C,N,T,W(灰色4種)のいずれか(大きめの数字)を混色、またはメインに使用
ふんわりと優しいイメージで仕上げたい
・数字②(色の濃さ)は2,3あたりを選ぶ→薄めの色
・アルファベット2字ばかりにしない→ベース色が増えて濁りやすくなる
くすみやニュアンスカラーで仕上げたい
・同じアルファベットが含まれるものの中から複数選ぶ→同系色をいくつか選択
・E(茶系),C,N,T,W(灰色4種)のいずれか(小さめの数字)を混色またはメインに使用
・数字②(色の濃さ)が7~9かつ数字①(系統)が0,1は避ける→色が濃くて鮮やかなものを避ける
このようなイメージです。
※これは私の場合で、混色の仕方やとらえ方は人それぞれだと思います。
コピックの中には例外的な色もあるので、あくまでご参考までになさって下さい。
⚫こちらもどうぞ
見ためで並べたコピック78色色見本
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単色と色割れのある色で選ぶ
カラーシステム以外の選び方もご紹介します。
コピックインクをアルコールで伸ばすと、比較的そのままの色が均一に薄まって伸びるもの(ここでは単色と呼びます)と、複数の色が現れて、色割れするものがあります。
コピックの色はほとんどが様々な染料の混色によって作られているので、色割れするものが多いです。
そんな中、単色で広がりやすいのはプリンターインクで言うところのマゼンタ(赤ピンク)系、シアン(水色)系、イエロー(黄色)系だと感じています。
他にインディゴ(紺色)、茜色(赤)、ストレートな茶色とストレートな灰色も単色で伸びやすい印象です。
つまりアルファベットだとR、Bの水色と紺色、BGの水色系、Y、Eの茶系、Tです。
逆にそれらの色を混色しないと作りづらいと思われる、紫や緑がアルファベットに入っている物(V、BV、RVのV強め色、G、YG、BGのG強め色)は、アルコールで伸ばすと分離して色割れするものが多いです。
※あくまで傾向で、V,Gでも単色のように広がるものはあります。
※橙(YR)ではイエローが出てくるものがありますが、目立ちにくい印象です。
また意外なところで青(Bの中のわずかに赤みを感じるタイプ)もマゼンタ系が入っていて色割れします。
色割れするタイプは1本でもニュアンスが出て多彩な色が楽しめる一方で、それ同士の混色では含まれる色数が多くなり色が濁ってしまいがちです。
また退色していく中で元の色と違った雰囲気に変色するものが多い印象なのでご注意ください。
特徴を理解して作品制作に活かしてもらえればと思います。
色濁りのないグラデーションを目指すなら、単色に近いカラーを選ぶのもおすすめです。
避けると良い色
冒頭で少し触れた通り、実は避けた方が良い色もあります。
1つ目はアルファベットとその隣の数字①までが同じ場合の、数字②(色の濃さ)が近い数字のもの同士です。
例えばB01とB02や、Y15とY17などです。
カラーシステムを理解した方ならおわかりになると思いますが、これは単純にアルコールで伸ばせばほとんど同じ色になってしまうからです。
アルファベットと数字①(系統)までが同じとき、数字②(色の濃さ)については理論上9をアルコールで伸ばせば8から000までの色を作れる(例えばB09をアルコールでどんどん薄めれば理論上はB08からB00まで作れる)ことになります。
しかし実際にこの通りに行く色ばかりではありません。
何度も述べている通りコピックは複数の色が混ざっているものがほとんどなので、アルコールで伸ばしても理想通り均一な色のままは薄まらない場合が多いです。
さらに、6を0の色味に近づけるなどのようにあまりにもアルコールで薄めすぎると、紙に定着しづらくなったり、アルコールインクが持つツヤが無くなってしまいます。
とはいえ、数字が近いものについてはほとんどの場合アルコールの量で十分対応可能です。
色見本や紙に置いた試し描きでは違うように見えても、アルコールで伸ばしたらそっくりになることがあるので、
アルファベットとその次の数字までが同じとき、最後の数字は少し離すのがおすすめです。
※Eはこの限りでないです
おすすめしない2つ目は、数字②(色の濃さ)が000、00、0、1、2のものです。
理由は2つあって、1つは色が薄すぎて扱いづらいことです。
アルコールインクアートではインクをアルコールで伸ばしながら使っていくので、多くの作品でそのままの色よりさらに薄くなるとお考え下さい。
※筆で描く場合はこの限りではないです。
ストライプの描き方動画
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逆にこれらを発色させようと思うと、インクをあまり薄めず描かなければいけなくなり、ベタつきが残りやすくなります。
もう1つは退色が早い傾向にあることです。
コピックは紫外線などにより退色します。
この退色は、ただ薄くなっていくだけでなく、早い段階でほぼ消えてしまったり、元の色味からほど遠い色に変色することもあります。
これは染料インクである以上避けられないのですが、色によって退色のしやすさが違います。
000~2は退色に弱く、日向に置けばたった数日で消えてしまうものもあるため、作品を少しでも永く楽しむためにおすすめしません。
淡いニュアンスが好きな方でも、3以上で十分満足のいく作品が作れると思います。
コピックの退色についてもっと知る
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数字の小さなインクを使う場合は、他のインクと一緒に使用していくのが良いと思います。
まとめ
コピックカラーシステムの見方、その活用の仕方、他の選び方、選ばない方が良い色について書きました。
とっても長くなりましたが、色選びのヒントになったでしょうか?
最後にコピックメーカーの.Tooさんの公式サイトを貼っておきます。
カラーチャートを見ながらこの記事を読んでいただくと、分かりやすいかもしれません。
ただし、ホームページやパンフレット上のカラーチャートと実際アルコールインクアートで使うときの色は大きく違うものが結構ある(一般的な紙とアルコールインクアートに使用する耐水紙とではインクの染み込みが異なり、発色が異なります)ので、画面や紙面のコピックカラーチャートはあくまで参考程度にするのがおすすめです。
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コピックカラーシステム – コピック公式サイト
他に手持ちのコピックカラーを管理したり、紙の塗り見本を確認できたりする、コピック公式のアプリもあります。
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コピックコレクション – コピック公式サイト
こちらはキャップの色よりは実際の色に近いですが、やはりアルコールインクアートで使う場合は多少印象が変わるものもあるのでご注意ください。
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コピックの色の特徴を理解すると作品づくりもグッと幅が広がるので、ぜひ色々なカラーに挑戦してみて下さいね。