
アルコールインクアートが変色してる!



私のアルコールインクアート作品、
持ちはどうだろう?



コピックインク78色退色実験
してみました!
(ついでにレジンの影響も)
はじめに:コピックインクは退色しやすい?
アルコールインクアートにもよく使われるコピックは、色成分に染料を使用しており、鮮やかで透明感のある発色に優れる一方で、非常に退色しやすいという難点があります。
とくに、アルコールインクアートでは耐水紙を用いるため、染料のほとんどが紙に染み込まず表面に乗っているだけの状態です。
また描法の面でも、元のインクをアルコールで伸ばして広げるため、薄付きで紫外線の影響を非常に受けやすくなっていると予想されます。
今回はアルコールインクアート時のコピックの色ごとのUV変色を知ること、そして少しでも効果的な対策を見つけることを目的にして、手持ちの78色で退色実験をした結果をまとめます。
・アルコールインクアートをしている
・コピックインクで退色しやすい色が知りたい
・アルコールインクアートへのレジンによる変色影響が知りたい
・アルコールインクアートの退色へのUVカットアクリル板の効果が知りたい
⚫コーティングの面からスプレーを比較検討した記事


↓目次から気になるところへ飛べます。
実験方法
以下のように退色実験を行いました。
条件
家の中の二か所(南向きの縁側と明るいリビング)で、3パターンの耐UV効果が期待できる処置をしたコピックインク78色分のアルコールインクアートの色の経過を観察。
耐UV効果処置の3パターン
①UVカットスプレー3度がけ
②UVカットアクリル板でカバー
③レジンを部分塗布
比較対象用に日が当たらない場所に何もしないままの色見本も設置します。
使用品と選定理由
●紙
ユポ紙。アルコールインクアートではもっともポピュラーです。


●UVカットスプレー
室内紫外線カット率99.5%と謳われていること、適用範囲が広かったこと、2度がけ以上でも効果は1度がけとほとんど変わらないと明言されていたことからこれにしました。
●UVカットアクリル
額縁用のコチラのもの。室内紫外線であれば98%カットできるようです。
●部分塗布したレジン


ニ液性のレジンで、UVではなく化学反応で24時間かけて硬化します。
耐UV成分が含まれているほか、普段使用していて色の変化を感じることがあったので、合わせて実験することにしました。
コピックインク78色
手持ちの78色です。
左上BV群から右へV群、RV群…とコピックカラーシステムの色並び通りにしています。




最初の頃フィーリングのみで色選びをしていたので、かなり偏りがあります^^;
経過①レジン硬化後と、設置1日目のコピックインク退色・変化
エポキシレジンの硬化直後にレジン部のみ変色が見られた色がありました。
また、縁側設置1日目にしてレジン部に目に見える変化があった色もあり、それぞれ白文字で記載しています。下に簡単にまとめます。






硬化後に変化があった色
BV17・・・・・赤みが少し抜け水色っぽく
Y11・・・・・・退色(かなり薄く)
G17・・・・・・黄色みが抜け水色っぽく
B32・・・・・・退色(かなり薄く)
B32以外のB群・・赤みが抜け水色っぽく
レジン硬化後の色変化は多分硬化時の化学反応の影響によるもので、やはり変色する色があることが分かりました。
B群の一部で色が変わりやすい傾向にあるようで、とくに赤みが抜けやすかったです。
縁側設置一日目でレジン部に変化があった色
BV31、BV34・・・・・青みが抜けピンクっぽく
レジン部で1日目にして退色してしまったのは想定外でした。
夏真っ盛りの頃だったので、熱によるものなのかもしれませんが、レジンが退色や変色を早めてしまう場合があることが分かりました。
特にBV群の一部で色が変わりやすいようです。
経過②二ヶ月後のコピックインク退色・変化
各条件で設置していたものを1枚絵に戻しています。
↓のような配置になっています。


コピックインク各色の退色・変化
●動画で見る
コピックインク各色の変化一覧


























リビングに設置していたものはほとんど変化がないか、変化していてもわずかでした。
より変化があったのはやはり縁側の窓際設置の3つ(紙の上段部分)。ぜひここにご注目ください。
とくに退色・変色が著しい色


BV000とBV11を入れ忘れてしまってました;BV02は一つ紛失しました。








RV10,RV21,R02,R20,R32,Y11,B32,B60,E02は、色がほぼ消失してしまいました。
末尾の数字が小さいもの(0~2)の中には消えてしまうものがあることが分かりました。
BV系はピンクになるような変色が目立ちます。
⚫コピックの色の見方と色選びについてはこちら
↓↓↓


W3とW8は分かりづらいですが、赤みがすっかり消えてしまっています。
UVカットスプレー・UVカットアクリル板・レジンの効果
UVスプレー3度がけの効果
UVカットスプレーについては、ほとんど効果がないか、あっても限られた数色だけの印象でした。
UVカットアクリル板の効果
UVカットアクリル板については、効果が感じられない色も中にはありますが、多くの色で退色を遅らせていると言えそうです。
レジン部に退色・変色があった色一覧










BV17,B37,N8のように元の色とかけ離れた印象に変色してしまうものがあることが分かりました。
どれも緑がかった色になっていて、何かの染料が化学反応している気がします…
ですが少なくない色でレジン部のみ退色が防げるケースがあることも分かりました。
⚫レジンとの化学反応による変色はコーティングスプレーで抑えられました!
↓↓↓


まとめ・感想
アルコールインクアートのコピックの退色について、末尾の数字が小さな(0~2)明るい色では退色して消えやすいものが多い傾向にあることが分かりました。
B9のグループやNaturalGrayのグループなど、濃い色や暗い色でも変色しやすい色もありました。
この辺りは色さえ覚えたら避けたり混色したりして変化をマイルドにする事も出来そうです。
UV対策について、UVカットスプレーの効果は限られた数色でわずかでした。
UVカットアクリルは比較的多くの色で退色を遅らせていました。
私は今後も今まで通りUVカットスプレーは使わないつもりですが、販売作品についてはお客様のご希望があれば使うようにしていきたいと思います。
エポキシレジンではひどい変色を起こすものが数色ありましたが、色によっては退色をとても遅らせられる効果が期待できることが分かりました。
こちらはレジンをかける予定の作品では変色を起こす色は使用を避けるのが無難だと思います。
また作品によってはレジン以外のコーティングを考える必要性も感じました。
さいごに
いかがでしたか?
私の所有色がかなり歯抜けで、退色・変色を読み切れないのが残念ですが、一部だけでも今後の作品製作やUV対策の手がかりになればと思います。