レジンのコースター、ホットでも使える?
消えない跡が付いちゃった!
硬化後のレジンの性質、解説します!
ハンドメイドでよく使われるレジン。
使い方や作り方の情報はたくさんある一方で、作品の取り扱いやお手入れについてはまだまだ情報が少ないですよね。
誤った扱い方をすると作品が台無しになってしまうことも。
今回はアートレジンやフローレスレジンなど、二液性エポキシレジンの硬化後の硬さや耐熱性等の性質と、正しい取扱いや保管の仕方、合わせて作品を発送する時の梱包の仕方をご紹介します。
・レジンを扱うアート・ハンドメイド作家さん
・レジン作品に添える注意書きを作りたい
・レジンの作品を購入した方
・レジンアート作品を販売したい方
エポキシレジン作品について
ハンドメイドのエポキシレジン作品は、飾っておくアートパネルの他に、スマホケース、インテリア雑貨など、実用性が求められるものもあります。
アート作品などの場合は梱包時や飾り場所に、実用性のあるものでは取り扱い時に、そしてどちらもお手入れの時にもエポキシレジンの性質特有の注意点があります。
正しく理解して、作品を台無しにすることなく長く楽しめるようにするため、硬化後のエポキシレジンの性質をチェックしていきましょう。
硬化後のエポキシレジンの性質と取り扱い
耐熱性、硬さ・耐傷性、耐光性の順に解説します。
耐熱性
硬化後の耐熱性はレジンによって大きく異なります。
例えば低いものでアートレジンの耐熱温度は50℃。高めのフローレスレジンでは約100℃。
アートレジン社の別ラインのインダストリアルクリアは176℃となっています。
私達がホットで美味しく飲めるお茶やコーヒーの温度は65℃前後なので、コースターに使用する場合、選ぶレジンによっては使用上の注意が必要ですね。
硬化後のレジンの基本的な性質として温まると軟らかくなります。
耐熱温度内ならそのまま冷めれば元に戻りますが、
耐熱温度を超えた時や、温かい状態の時は跡やキズなどダメージが残りやすくなる点に気を付けましょう。
レジンの耐熱温度表記は、必ずしも長時間の連続使用に耐えられる温度ではなく、数秒の接触OKという温度や、化学変化が起きる温度を採用している場合もあるため過信しすぎないようにしたいです。
また、反対に冷たくなりすぎた場合はヒビ割れが生じることがあるそうです。
ですので具体的に、下記のような環境は避けるようにします。
- 夏場の直射日光下・車内など
- ストーブ・ガスコンロなど熱を発するものの近く
- 氷点下になる場所
硬さと耐傷性
エポキシレジンは、正しく硬化させると、爪で押しても跡が残らず、2つをぶつけた時にカンッカンッと渇いた音がするくらいに硬くなります。
計量や混合でミスをしているとしっかり固まってもここまでの硬さが出ず、硬化不良と呼ばれるやわらかさが残った状態になります。
24時間~72時間で完全硬化と書かれているものが多いですが、この硬さが出るまでにはもう少しかかって、私の体感だと常温で2週間~1ヶ月くらいの印象です。
実際にメーカーによっては「完全硬化は72時間、その後30日間かけて硬度が増す」と書かれているケースもあるくらいなので(じゃ完全硬化ってなに?って話なのですが)、「72時間経ったからもう安心!」とは思わない方が良いです。
硬化直後や硬さがしっかり出る前のレジンは、爪で押すと凹みができるものの、次の日には凹みが消えるような不安定な状態です。
この時にレジン面に何かが触れたままになっていたり、強く押しつけたりすると、消えない凹み跡が残ってしまうので、硬さがしっかり出るまではしばらくそっとしておきましょう。
エポキシレジンの硬さの具体的な数値は、押し込み試験によるショアDという単位で表されます。
硬さの目安としては、強化プラスチック86-90、一般的なプラスチック65-83、エポキシレジン平均約75となるそうですが、
数値が公開されているアートに使われる主要なレジンでは
となっていて、硬化後のエポキシレジンは硬めのプラスチックくらいのイメージで良いと思います。
硬さが出た後の耐傷性についてはアートレジンでは公式見解で、
「傷はつきにくいもののあくまでアートのコーティングや壁掛けを想定しているため、日常使いする場合は摩耗から保護するためのポリウレタン系トップコートを」(テーブルや床の使用にも耐えられる硬さの塗膜ができるものですね)
と書かれています。
決して引っかきに強いわけではないのですね。
傷を防止する、塗るタイプのレジン用のコーティング剤は日本でもいくつか販売されていてますが、大型作品だとキレイに仕上げるのが難しいです。
↓車用を代用できるとしていたメーカーがあり、試したことも。使用感は良好です。
硬度がより高い仕上がりになるエポキシレジンもたくさんあるので、キズや摩耗が気になる作品ではレジン自体を使い分けるのも良いと思います。
↓ショアD88!強化プラスチック並みの仕上がりになります。
耐光性
レジンの黄変と対策についてはこちらで詳しく触れているので詳細は割愛します。
↓↓↓
紫外線による黄変を遅らせるために、直射日光や蛍光灯直下を避けたり、レジン用コーティング剤のUVカットタイプを使用するなどの対策をするのがオススメです。
エポキシレジン作品のお手入れ
硬化後のレジンのお手入れについては、先述のように意外と傷つきやすいため、マイクロファイバーなど柔らかい素材のクロスで円を描くようにやさしく水拭きしましょう。
ヤニなど頑固な汚れには熱すぎないスチームやマイルドなガラス用クリーナーが推奨されています。
その時も力が入りすぎないようご注意くださいね。
黄変してしまったレジン作品は、酸素系の漂白剤を溶かした液に漬けるとある程度元に戻るそうです。
終わったらしっかり洗浄して下さい。
パネル作品だと難しそうですが、コースターや小型のレジン作品なら使える方法かもしれないですね。
レジンアート作品の保管の仕方
エポキシレジンのアート作品の場合は、作品が増えてきたり、飾らない作品がある場合に保管することもありますよね。
作品をしまう時は、裸のままではなく最初にあい紙(あいし・あいがみ)と呼ばれる中性の紙でアート面を保護し、酸化やカビから防ぎます。
あい紙として使われる紙はいくつかあって、よく使われるのは薄葉紙(うすようし)です。
ツルっとした薄ーい紙で、新品の服の間に挟まれているあの紙です。
※長期保存の場合SILティッシュやピュアガードなど、保護紙と呼ばれる専用の紙を。
その後ウレタンフォームなどの、クッション性と通気性のあるシートやスポンジで保護します。
↓100均にもラッピングや梱包用品の辺りに薄手の発泡シートがあります!
作品が複数点ある場合は、平置きにして積み上げることは避け、サンドしていく形で縦置きにします。
それを通気性の良い入れ物に入れ、木製パネルの場合は防虫剤を入れて保管します。
保管する場所は先述したように、暑い場所、熱くなるものの傍は避け、氷点下になるような場所も避け、UV対策をします。
さらに高温多湿な場所も避け、通気性の良い場所にできると最適です。
クローゼットや押し入れは通気性が悪く湿気がこもりやすい場合が多いため避けた方が良いですし、衣装ケースのような密閉される入れ物も避けます。(全部の条件をクリアできる場所、探すの難しいけど…!笑)
レジンアート作品の梱包の仕方
エポキシレジンのアート作品の梱包では、基本はしまう時と同様に、あい紙とエアフォームのような緩衝材を使用します。
あい紙の後に、エアクッション(プチプチ)を使う場合は必ず平らな方がレジン面に来るようにして下さい。
ポコポコの方がレジン側だと跡が残ってしまうことがあります。
それを段ボールなどで保護すれば完了です。
箱との間に隙間があれば新聞紙や緩衝材で埋めましょう。
クロネコヤマトさまではアートボックス(作品梱包用段ボール。1,800円~)の販売があります。
大切な作品の発送には検討してみても良いかもしれません。
まとめ
硬化後のレジンの特性や取り扱いとお手入れ、保管方法、梱包方法をご紹介しました。
思っていたよりデリケートだとお感じになる方が多いのではないでしょうか?
大切な作品を傷つけず長く楽しむために、作り手さんも購入者さんも、できる範囲でぜひ取り入れてみて下さいね。