↓目次から気になるところへ飛べます
アルコールインクアートにレジンをするメリットは?
まずはレジンをするメリットを確認しておきましょう。
アルコールインクアートにレジンをするメリットには次のようなものがあります。
- アート表面をキズやよごれから保護できる
- つやつやピカピカで高級感のある仕上がりになる
- みずみずしさが際立ち本格的な印象になる
- 雑貨に応用させやすくなる
レジンを使えるようになると、ハンドメイド販売などで作れるものが増え、活動の幅も広げやすくなります。
アルコールインクアートのレジンコーティングのやり方
前回の、必要品リストと環境についての記事に続き、今回は詳細なやり方をご紹介します。
●私が主に使っているレジン
基本の手順
おおまかな流れは次のとおりです。
- 下準備
- 使うレジンの必要量を計算する
- レジン(主剤)とハードナー(硬化剤)を計量する
- 二液を混合する
- レジンを注ぐ
- 気泡を消す
- カバーをして硬化を待つ
それぞれコツをふまえて詳しく解説していきますね。
計量~混合までを動画で見る
下準備
まずはレジンをかけるパネル作品の方の下準備をしましょう。
マスキングテープでパネル側面を保護した後、水平に設置します。
マスキングテープを貼る位置は、私は天面より数㎜下げた辺りにすることが多いです。
これはアートがはがれてくるのを防ぐためなのですが、サイドの仕上がりのお好み次第で、天面ギリギリでも良いと思います。
その後、アートを水平に設置します。
紙コップなどで机から底上げして、垂れてきたレジンで作品が机にくっついてしまうのを防ぎましょう。
※この時は容器の中にカップを置いていますが、今は蓋の方を敷いてカップを置き、容器の方をカバーとして使っています。
レジンアートをするようになると特に、蓋を敷く形にした方が可動域が広がってやりやすいです。
冬場のレジンは要注意!事前にあたためよう
もし冬場にレジンを扱うなら事前に温めるのがおすすめです。
レジンは温度の影響を受け、冷たいと粘度が増して、失敗しやすくなります。
温め方については、ボトルのまま湯せんするのがスタンダードです。
レジンは水分厳禁なため、水濡れしないようジップロックなどの袋に入れて、40~50℃(レジンによって異なる)ほどの温湯で湯せんするようにしましょう。
この温度の理由は、レジンのボトルが耐熱性ではない場合が多く、湯が熱すぎると容器が溶けてしまうことがあるほか、
温めすぎて高温になると、混合時に急激に温度が上がって硬化してしまう熱暴走に繋がって、失敗しやすくなるためです。
ちなみに私はこたつや床暖房を使用したり、混合カップに取り分けた後で、温度を測りつつ混ぜながらヒートガンで直接温めたりすることが多いです。(飛び散りに注意!)
エポキシレジンの必要量の計算
続いて、どのくらいのレジンが必要かを計算します。
ART RESIN社が公開してくれている計算機が便利です。
ART RESIN 公式
計算値は総量なので、レジンとハードナーを半量ずつ用意しましょう。
ほかに、I♡Smartさまも公開して下さっています。こちらは日本語で使いやすいですね。
I♡Smart
厚さ(深さ)の設定は2㎜で良いと思います。
I♡Smartさまの計算機は重量(重さ)でも算出してくれるので、計量カップではなくスケールではかりたい人にもおすすめです。
エポキシレジンの はかり方
アートレジンは体積(単位はml)比で1:1の混合割合なので、計量カップを使用するのが分かりやすいです。
計量ではレジンとハードナーをきっちり1:1にすることを目指しましょう。
このとき1つのカップを使いまわすと、わずかな残量で誤差が出てしまうため、ハードナーとレジンそれぞれに計量用カップを準備します。
▽計量は黄変に影響します
重さ(g)ではかる場合
アートレジンやフローレスレジンは体積(ml)ではかるのが1:1で分かりやすいですが、重さ(g)ではかることもできます。
重さではかると、計量~混合までを一つのカップで済ませられる良さがあり、私はほとんどの場合に電子スケールではかっています。
▽電子スケールは、0.1g単位まで量れるものを
重さではかるデメリットは、計算が少しややこしくなること。
計量するためにはまず、お使いになるレジンの重さの比重を知っておく必要があります。
・アートレジンの比重
レジン:ハードナー=100:84
・フローレスレジン アート用の比重
レジン:ハードナー=100:89
ハードナーの方が値が小さい、つまり軽いです。
重さ(g)ではかるとき1:1のままだと硬化不良をおこして十分な硬さが出ませんので、くれぐれも間違えないで下さいね。
重さではかる場合のレジンの必要量も、先述したI♡Smartさまの計算機をつかって計算できますが、
どちらかを入れすぎてしまった時の再計算用に、計算式も2つご紹介します。※アートレジンの比率の場合
必要量の総量からレジンやハードナーの量を計算するパターン
- レジンの量(g)=総量×100/184
- ハードナーの量(g)=総量×84/184
一方の量からもう一方の量を計算するパターン
- レジンの量(g)=ハードナーの量(g)÷0.84
- ハードナーの量(g)=レジンの量(g)×0.84
エポキシレジンの混ぜ方
アート用など高粘度なエポキシレジンを混ぜるときは混ぜ残しなく、泡立て過ぎずしっかりと混ぜることを目指しましょう。
混ぜ残しは硬化不良や表面のベタつきの原因になるほか、黄変にも影響します。
容器のどこをこすっても、モヤモヤした線が現れなくなるまで混ぜて下さい。
▽こちらの動画を先に見ていただくとイメージが湧きやすいと思います。
混合用容器には、ハードナーを先に注いでください。
理由はハードナーよりレジンの方が重く、レジンを先に注ぐと沈んでしまって混ざりにくくなるためです。
混ぜ残しが最もできやすく注意が必要なのが容器の側面と底です。
どこをこすってもモヤモヤが現れなくなるまでこそげるように混ぜ込みましょう。
混ぜ方は空気が入りすぎないよう、シャカシャカさせず、穏やかに確実に混ぜるようにします。
ここで大量の気泡が入ると後の作業でも消しきれなくなる場合があります。
混合時間については、3分間は混ぜるよう推奨されています。
エポキシレジンの注ぎ方
水平器でアート面の水平を確かめたら、アートに注いでいきます。
この時注ぐアートが水平でないと、仕上がりのレジンの厚さが偏ります。
基本は中心から注ぎ、厚さ3mm以内になるように広げます。
アートレジンは一応セルフレベリング(勝手に均一に広がる)で3mm程になるそうですが、角や縁は塗り残ったりしやすいため、ある程度念入りに広げる必要があると思います。
大きな作品のときは手で伸ばすと、厚さや広げ残しの感覚が分かりやすいですよ。
気泡の消し方
気泡を消すときは、ガスバーナーやターボライターでレジン表面を手早くあぶります。
※アートレジンやフローレスレジンの場合はこれでOKですが、レジンには火気厳禁のタイプもあります。お使いのレジンをよくご確認下さい。
あぶるときの3大NGは「近すぎ、垂直、一点集中」です。
あぶりすぎ(オーバートーチ)は、表面が波打ったようになって美しく仕上がらない他、黄変の原因にもなりますし、有害な煙を出す原因にもなり、作品にも身体にもよくありません。
作品から20㎝ほど離し、斜めの角度で、止まらずにあぶります。
最終チェック
全体をあぶった後、まだ沈んでいる気泡があれば、竹串などで浮き上がらせて取り除きます。
※スピナールという商品が使いやすいと教えていただきました!
細ーい針金の先がギザギザになってほこりなどが引っ掛かりやすくなっています。
ほこりやチリもチェックして、全て取りのぞいたらカバーをしましょう。
硬化前は反射でホコリや気泡が見えづらいです。
見る角度を変えてチェックは念入りにして下さいね。
アートレジンは混合後45分で硬化し始めるため、それまでには全ての作業を終えるようにします。
45分を過ぎた場合、増粘してきて気泡も抜けにくくなります。
レジンを温めたときは、硬化が早まり硬化開始までの時間が10-15分短縮されます。
温めた場合は30分以内に作業を終えるように注意してください。
まとめ
レジンのやり方を各行程のポイントを踏まえてご紹介しました。
とにかくレジンは手早く丁寧にやることが成功のカギです。
時間がかかるとそれだけホコリを受け止めやすくなりますし、増粘して気泡も抜けにくくなります。
初めての時は行程を頭に入れて、シミュレーションしてから行うと良いと思います。
ツルピカな表面目指して頑張りましょう。
失敗してしまった時はこちらをチェック!
●リペアと重ねがけについてはコチラ