レジンの海アート作品と波のセルについて
エポキシレジンを始めたら、海アート作品に挑戦してみませんか?
●エポキシレジンをこれから始めたいかたはこちらの記事
レジンアートやポーリングアートでは白波を表現する網目状の模様をセルと呼んでいます。(特に細く連なるような網目はレースと呼ばれています)
海アートではこの白波のセルをいかに綺麗に出すかや、好みのニュアンスで表現するかが腕の見せ所になると思います。
今回は白波セルづくりのポイントをこの波に使用する白い着色剤を8種類比較してみました。
※ただし、セルの出方は着色剤とレジンの相性や、環境、やり方で大きく変わるものなのであくまで一例です。
あわせてポイントとなるセルの出し方もご紹介していきます。
いるもの
↓いるものはこちらのページにまとめています。
レジンについて
レジンには主剤と硬化剤を混ぜて使用する、エポキシレジンを選びましょう。
レジンの種類によって波模様の出やすさや、着色剤との相性が大きく変わってしまうのでご注意ください。
私のおすすめはアートレジン社のアートレジンと、KITETSU wood design様のフローレスレジン アート用で、どちらも高粘度タイプで使い方は似ています。
特徴をざっとご紹介すると、VOCフリーでガスマスクなし使用可、不燃性(炙ってもOK)、FDA(アメリカ食品医薬品局)準拠の食品安全性(食品の接触OK)、高透明、第三者機関による黄変試験で好成績、体積1:1の混合比率、鋳造ではなく平面作品用の、名前の通りアーティスト向けに作られたエポキシレジンです。
白波セルの出し方とコツ
白波のセルを出すコツは、
①レジンの粘度
②白波着色剤の種類
③ホワイトの広げ方
の3つです。
それぞれ詳しくご説明します。
エポキシレジンの粘度
セルを綺麗に出して、固まるまで保持させるためには、レジンの粘度を高くしておく必要があります。
粘度が水あめ状になったら白波を入れていきます。
粘度を高くする方法は、ベースのレジンをパネルなどに広げたら気泡を消して、粘度が上がるまで放置することです。
増粘してからだと気泡が抜けにくいため、先に広げて気泡を消しておき、粘度が上がるのを待ちます。
※おすすめのレジンではこの方法ですが、低粘度で気泡が抜けやすいタイプのレジンを使う場合や、脱泡機などお持ちの方は増粘してから注いでもよいと思います。
放置時間については、レジンの種類・添加する着色剤・攪拌時間・レジンの量・温度湿度などの環境によって増粘スピードが大きく変わるため一概には言えませんが、レジンごとに決められている作業時間(硬化に向けて増粘しだすまでの時間。)よりは長くなります。※レジンによってはこの表示がないものもあります。
たとえばアートレジンの場合だと作業時間は45分、温めた場合で30分とされているので、波入れのタイミングはそれより後になります。
どうしても時間で計りたい場合、増粘スピードに影響する条件が毎回なるべく同じになるよう整えて制作するようにしてください。
レジンについて他に、エポキシレジンの種類によってはほとんどセルができないものもあります。
私は海外メーカー中心に5種類試して、2種類のものは何度やってもほとんどセルが出ませんでした。
おすすめのもの以外のレジンをお使いの方で、色々試してもほとんどセルが出ない方はレジン自体を見直してみると良いかもしれないです。
白波着色剤の種類
白い顔料には、ジンクホワイト、シルバーホワイト、チタニウムホワイトなど組成や性質が異なるいくつかの種類があります。
この中でセルを出すのに向くのはチタニウムホワイト(酸化チタン)です。
着色に使えるものには、粉末顔料、絵の具、レジン用着色剤などありますが、白でもチタニウムホワイトのものを選んでください。
それぞれの特長と混合のポイントをご説明します。
粉末顔料(ピグメント・マイカ)
粉末の顔料はピグメントやマイカと呼ばれます。
顔料(ピグメント)とは鉱物や合成無機物などから作られたものの事で、その鉱物の中でも雲母をベースに作られたものが英語圏ではマイカと呼ばれています。
雲母はキラキラした鉱物なため、マイカを使用するときらめきのある仕上がりになります。
ピグメントの方はダマができやすく、レジンと混ざりにくい場合があります。
直前にダマを砕いておき、しっかり混合して使うようにしましょう。
これらの粉末顔料は塵肺の原因にもなりえるため、大量に扱う際は防じんマスクを使うようにしましょう。
●防毒(防じん)マスクの記事はこちら
絵の具
色を付けるものとして一番に思い浮かぶのはチューブの水性絵具(アクリル絵具)ではないでしょうか?
ですが残念ながらレジンの着色に水性アクリル絵具は向きません。
水性絵具はベースに水が含まれていて、レジンに加えると水の分子とレジンの一部が反応してしまうことで、増粘時間が変わったり、作品の黄変スピードが速くなるなどの原因になります。
↓レジンの黄変についての詳しい記事はこちら
チューブに入ったものだけでなく、液体タイプのホルベイン インクやリキテックス リキッドも形態は違いますがアクリル絵の具の一種なのでご注意ください。
レジン用着色剤
顔料が混ぜ込んであるペーストや液体顔料です。
少量で高発色。分散性に優れ、ダマなく混ざるものが多いです。
着色料には染料タイプもありますが、耐光性や耐久性などの面でアートに使うのは顔料タイプがおすすめです。
●日新レジン エポキシレジン用着色剤(液体顔料)
UV・LEDレジン用の着色剤はエポキシレジンにも使えるものが多いです。
ただしUVレジン用は、使うレジンとの相性によってセルが出なくなるケースもあるのでご注意ください。
●宝石の雫
使用量について
着色剤が多すぎると硬化不良の原因になりますが、少なすぎると重さの差が出せずセルが出にくくなります。
セル出し用の白レジンには使いすぎないようにしつつ白がしっかり発色する量を入れる必要があります。
ホワイトの微妙な量によってセルのニュアンスが変わるため、毎回同じクオリティにするには小数点以下まで量れるスケールを使いましょう。
波の白の広げ方
セルを均一に出すためには、ホワイトを均一に、表面に薄く延ばす必要があります。
正しい濃さのホワイトを正しく広げると、後から炙ったり風を当てたりしなくてもセルはできます。
やり方は海レジンの縁に透明なレジンをライン上に垂らした後、さらにその縁にホワイトレジンを筋状に垂らします。
そして透明レジンと一緒に表面を滑らせるようなイメージで、熱風でホワイトのレジンを沖方向に伸ばします。
風を当てる道具については、粘度が高くなったレジンを熱で温めて緩くして動かすのが目的のため、温度が高い風を出せるヒートガンやエンボスヒーターがやりやすいです。
使う工具やノズルの形、風の強さでも波の仕上がりのニュアンスが変わりますのでお好みに合わせて選びましょう。
広げた後はバーナー等でさっと炙ると、レジンが緩くなり白の動きが助けられてセルを大きくしやすいです。
ただし、チタニウムホワイトにはエポキシレジンの黄変を早めてしまう性質があり、炙るとさらに黄変が早まりやすくなります。
メーカーによってはホワイトを添加した後はバーナーを当てすぎないよう言及されているくらいなので、オーバートーチには十分ご注意ください。
海レジン:セルの出し方と波の着色剤比較動画
さまざまな白着色剤で実験してみた様子。セル出しのポイントつき。
↓一応音声解説付きです!
※訂正※
使用品の解説でマーメイドトラッシュの着色剤についてセルホワイトもあると言ってますがフォームホワイトの間違いでした。
使った着色剤
●Armor Art ホワイトピグメント
●CASTIN’ CRAFT オペークホワイト
●MERMAID TRASH
商品代金の一部が海洋汚染の改善に役立てられます。
●日新レジン 不透明ホワイト
日本のメーカーです。
●just resin
ペーストの着色剤が豊富です。全部ほしくなる・・・・
ブランドの販売サイトはコチラ
●リキテックスの水性絵具
●ホルベイン チタニウムホワイト
粉末顔料。1番お手頃です。ダマになりやすいのでレジンと混ぜる前によくすり潰してお使い下さい。
その他
●取っ手付き混合用カップ
カップは本来使い捨てですが、レジンが剥がせるのでベコベコになるまで繰り返し使用しています。
結果
マーメイドトラッシュのセルホワイト以外すべてセルが出ました。
ざっくりと、アーマーアートやキャスティンクラフトなど、ペースト系は丸い泡っぽい丸セル、粉末のホルベインチタニウムホワイトは線が細い網目状セルになりました。
おわりに
これであなたもセル職人(笑)になれるはずです。
自分の理想のセルのニュアンスを目指して一緒にセル活動しましょう。
当オンライン対応レッスンではニュアンス波、小さめセル波、大きめセルにする各種添加剤など、目指すニュアンスの波にするための方法や、砂浜の作り方数種、海部分の様々な作り方(ペイント・テクスチャー下地・アルコールインクアート・レジン着色)とそれぞれの違いなどもお伝えしています。
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