アルコールインク・レジンアートのスマホケースについて
アルコールインクアートのニュアンス感のある模様のスマホケースはおしゃれでとても人気です。
アルコールインクアートやレジンコーティングを始めたら、世界に一つだけのスマホケースを自作してみませんか?
スマホケースはアートをするのに手ごろだし、お気に入りのアートを毎日持ち歩けるのも嬉しいですよね。
●これからアルコールインクアートを始めたい方はこちら
今回はアートができるケースの素材や、はがれないやり方などについて私が実際やってみた、いくつかのパターンで詳しくご紹介します。
スマホケースの種類
まずはスマホケースの素材や形の特長について解説します。
素材と形状
スマホケースの素材では、ハードタイプのポリカーボネートとソフトタイプのTPU(熱可塑性ポリウレタン)が代表的です。
形の基本として、ハードタイプではボタン部分や接続部分はざっくりとカットされています。
硬さ故に細かな部分は割れやすかったり、多少の遊びがないと装着がしづらくなるためかと思います。
一方ソフトタイプや、ハードとソフトが組み合わされたハイブリットタイプでは縁の全周がカバーされています。
どちらがハードでどちらがソフト(またはハイブリッド)か分かるでしょうか?
それぞれのケースの性能について、ハードの方は衝撃を跳ね返す形で、ソフトやハイブリッドの方は衝撃を吸収する形で、耐衝撃性をアップさせています。
値段はピンキリで100円ほどから手に入るものもありますが、安いものはすごく薄く頼りなく、この辺りの性能面があまり期待できません。
お値段にはそれだけの価値が少なからずあるという印象です。
アートのやり方によって、ケースの向き不向きがある場合もあるのでそれぞれのやり方をご説明していきます。
作り方 アルコールインクアート編
まずはアルコールインクアートのケースの作り方をいくつかご紹介します。
●アルコールインクアートを始められたい方はこちらの記事
アートをはさむ
クリアなケースに、ケースの形に切り抜いたアートをはさみ込みます。
●ゴールドの縁取りがあるタイプ
<メリット>
・ケースの素材を問わない
ソフトケースでも大丈夫です。
・レジンコーティングなし
アート面に手を加えて保護する必要がありません。
・手軽に楽しめる
着せ替え感覚でいつものアートをすぐにケースにできます。
<デメリット>
・アートのカッティングの手間
きっちりとケースのサイズや形に合わせるのは意外と大変です。
・色はクリアやスケルトンだけ
・特別感…?
手軽な分、他のやり方と比べると少し特別感に欠けるかもしれません。
アートの切り抜き方
①トレーシングペーパーなどにケースの形を写し取る
②アートと一緒に切り抜く
これだけ….
なのですが、このままだと裏になってしまいます!笑
型取りした紙を裏返すか、またはケースの表側から型取りするなど、アートとケースの向きには注意が必要です。
●トレーシングペーパー
トレーシングペーパーは数枚入りのものが100均にも売っています。
アート用紙の方は切り抜きやすさや装着感の点で、極厚すぎないものを使うのが良いかなと思います。
アートを貼る
裏面粘着タイプのシートなどにアートをして、ケースに貼り付けます。
●クリアなタイプ
<メリット>
・ケースの色と素材(PC/TPU)を問わない
どちらの素材にも貼り付きます。
・狭く立体のケースにアートしなくてよい
・部分的にも貼れて、デザインの自由度が高い
<デメリット>
・気泡が入りやすい
慎重に何度か試しましたが、気泡ゼロにすることはできませんでした。
(技術があればできるのかも・・・)
・長持ちさせたければコーティングする必要がある。
そのままでも、爪で擦った程度ではインクが取れない仕上がりにはなりますが、より長持ちさせたければなんらかのコーティングをした方が良さそうです。
その場合、必ずしも粘着力が強いタイプでなくても良いかもしれません。
使用するシート
アルコールインクアートをするのに向くのは、耐水性のあるレーザープリンター用の用紙です。
●紙のことを取り上げた記事
それを踏まえておすすめなのがラベルシールです。
素材に注意してくださいね。
このシリーズであればポリエステル製のタイプ(緑色のパッケージ)のレーザープリンタ用がおすすめです。
光沢とつや消し、他に再剥離可能なタイプなどもあります。
家電量販店のプリンター用品のあたりに少量から豊富な品ぞろえがあるので気になる方は覗かれてみるのも良いと思います。
やり方はラベルシートにアートをして、好きな場所を切り取ってケースに貼り付けるだけです。
ちなみにミラーのような仕上がりになるこちらのシルバーはmolotow liquid chomeです。
ペンタイプが有名かと思いますがコピックのようにリフィルがあります。
た、高い…!
けど詰め替える前のペンの方もお高いので仕方ない…!
こちらのインクもアルコールベースで、上手く使いこなすと唯一無二の輝きが出せると思います。
直接アートをする
ケースに直接アルコールインクアートをします。
●お安い無地のホワイト
<メリット>
・切り抜きや貼り付けの手間なし
・拭き取るだけで何度でも書き直し可能
・ハードケースなら側面までアートができて特別感がある
<デメリット>
・剥がれないように定着性向上やコーティングの工夫が必要
使用するケース
ケースに直接アートをする時は、熱に強いハードタイプのポリカーボネート製を選ぶのがおすすめです。
ソフトタイプのTPUの方は、熱に弱く、化学薬品にも弱い性質があるのでアルコールインクアートやレジンアートには不向きです。
他に、背面はポリカーボネートで側面がTPUのハイブリッドタイプもあります。
こちらもアートをするのに向いています。
特にこちら↓は背面部分を分解できて、側面のことを考えなくてよいのでやりやすいです。
アートをはがれにくくする方法
このままではアートがむき出しではがれやすいため、定着性を上げる工夫が必要です。
はがれにくくする方法の一つは定着液や、コーティングのはたらきのあるものをアート製作時に追加することです。
こちらはカメンスカヤのブレンディングソリューション(左)とスーパーコンセントレート(右)です。
ブレンディングソリューションは、固定特性を高めるニス成分や紫外線防止剤などが入っていて、このまま無水エタノールなどの代わりとして使用します。
スーパーコンセントレートは、アルコールに少量加えて使用するニスで、ブレンディングソリューションと併せて使用するとさらに固定効果をアップさせて、耐摩耗性を獲得できるそうです。
ちなみにスーパーコンセントレート、もの凄く臭いです。笑
ロシアだし魚膠系なのかな…と想像しますが(全然確証はないです)とにかく臭いです。
●カメンスカヤインクの製品の購入方法はこちら
これを使用してアートしてみたところ、爪で強くギコギコしても剥がれにくくなりました。
が、表面にキズはついてしまいます。
スプレーコーティングのように追加の手間暇なく、使用品をこれに替えるだけで耐摩耗性や耐UV性をアップできるところはとても魅力的で、
レジンコーティングをしないアートに使用するのに良いと思いますが、普段使いするスマホケースで使うには少し心もとないかなという印象でした。
続いて、アルコールインクアートを取れないようにする方法の二つ目は、レジンコーティングです。
レジンコーティングで特に課題となるのは側面です。
ここからはレジンをする場合のやり方や側面の処理の仕方を詳しく解説していきます。
作り方 レジンアート編
スマホケースにレジンを掛ける時のポイントと、ケース側面問題を解決する方法をご紹介します。
⚫エポキシレジンの基本の道具の記事はこちら
⚫エポキシレジンのやり方の記事はこちら
背面のレジンがけと側面の処理の基本
スマホケース背面のエポキシレジンのかけ方は二通りのやり方があります。
どちらも硬化中に側面に垂れてくるレジンを最小限にするための方法です。
下準備として、まずケースの内側に紙コップなどを貼り付けて、持ち手兼硬化時の下駄になる部分を作り、レジンを掛けた後もケース側面や内側に触れられるようにします。
その後ケースを無水エタノールなどで拭いて、定着の妨げになる汚れや油分を除去します。
それらが終わったらレジンをかけていきます。
レジンを薄くかける
一つ目の方法はレジンを薄くかけるやり方です。
レジンをかけたら、気泡消しの際に余計なレジンをなるべく落とすようにして、エンボスヒーターを使用したり、炙る場合はそのあとドライヤーの風を当てるようにします。
レジンは温まっている時が粘度が低く、サラサラで薄くしやすいからです。
そしてこの時点で側面に垂れているレジンの雫は切って、できるだけキレイに整えておきます。
粘度の高いレジンをかける
2つ目は粘度の高いレジンを塗布する方法です。
混合済みレジンをすぐには塗布せず、ある程度放置して粘度を上げてから、背面と側面に塗布します。
この方法はレジンのちょうど良い固さになるタイミングの見極めや、抜けにくい気泡の処理など難易度が高いですが、上手く塗るとぷっくり感のあるケースが作れます。
どちらの方法でも、内側に付着してしまったり、はみ出したりしたレジンを拭う際は、無水エタノールなどのアルコールを染み込ませて拭くとスッキリと落とすことができます。
変性アルコールにレジンを溶かす働きがあるからです。
上手くやればこれらの方法だけで側面までキレイに仕上げられます。
●私がよく使っているアートレジン ※購入の際は容量をよくご確認ください
側面問題
それでもなかなか上手くいかず、課題になることが多い側面問題の解決方法をいくつかご紹介します。
研磨する
切削研磨することで、こちら↓のようなレジンのがたつきを、
このように滑らかにできます。
これはパネル作品のマスキングの失敗にも使える方法ですね。
<メリット>
・レジンの失敗を恐れずできる
・研磨に不慣れでも失敗が少ない
<デメリット>
・道具をそろえる必要がある(比較的高価)
使うものとやり方
ルーターやネイル用品等を使用します。
番手(#の数字)が小さな荒い目から始めて、徐々に番手が大きな細かい目の物に変えていきます。
急に番手を大きくすると、前のヤスリの傷が消せないため、徐々に細かくしていく必要があります。
●私が使用しているミニルーター
研磨用ビットがセットになっていてどれを使えば良いか分かりやすいです。
最初の方は結構削り取る作業が必要なので、ルーターをお持ちでなければ金属やすりが良いと思います。
●プラモデルの研磨?に使う高評価のやすり
仕上げでピカピカにするのはネイル磨きのバッファーがやりやすかったです。
大量に製作する場合は粉じん被害を防止するためガスマスクが必須です。
●ガスマスクの使い方や比較の記事
UV(LED)レジンを使用する
背面はエポキシレジン、側面はUVレジンと使い分けます。
細かいところも自分が塗りやすい角度で処理して、短時間で硬化させることができます。
また他にデコレーションなどしたい時もあると便利です。
<メリット>
・慣れれば短時間で完成できる。
<デメリット>
・道具をそろえる必要がある。
使うものとやり方
UV(LED)レジンとUV(LED)ライト、塗り伸ばすためのハケや爪楊枝など用意します。
●PADICOさま 高品質なUV・LEDレジン
●安いUV・LEDライト・・・!
レジンをできるだけ均一に塗り、エンボスヒーターなどで気泡を消してライトを照射します。
(アートレジン等と違い炙ってはだめです!)
LEDライトであれば、たった30-90秒当てるだけで硬化終了です。
私は今回UVレジンを初めて扱ったのですが、初回気合いを入れずに塗ったらこの有り様でした。
やはりこちらも一筋縄ではいかないです。
順番としては、背面にレジンをした後、UVレジンで少し側面を整えるのが私はやりやすかったです。
側面レジンの必要がないケースを選ぶ
最後にご紹介するのは、そもそも側面レジンをしないという選択です。
ハイブリッドタイプのケースで、背面のポリカーボネートと側面のTPUのつなぎ目が縁取り状になっているものであれば、防波堤変わりになって背面のみのレジンがしやすいです。
他に、先ほどもご紹介したこちら↓のタイプは、背面を分解してレジン掛けできるため楽です。
とは言えどちらも縁の方などは慎重にやる必要があり、コツは要ると思います。
<メリット>
・側面レジンをしなくてよい
<デメリット>
・デザインが制限される
素材がハイブリッドのタイプでは私が探した限り、上記でご紹介したような背面がクリアで側面もクリアまたは他のカラーになっているタイプか、背面がホワイトで側面は黒いタイプのみしか見つけられませんでした。
角や側面のはがれ防止に
スマホケースにレジンをした場合、どうしても角や側面のレジンは使っているうちに剥がれてきやすく、もちが良いとは言えないと思います。
角などのレジンのはがれ防止方法として、レジンを掛ける前に#1500・#2000あたりの紙ヤスリなどで傷をつけて食いつきを良くしておくのもおすすめです。
(削りカスは必ずきれいに無くしておきましょう。)
角や側面まで全面アートする場合は使えない方法ですが、部分的なアートの場合はぜひお試しください。
まとめ
一点物のスマホケースをアルコールインクやレジンでハンドメイドする場合について、使うものとやり方を一通りご紹介しました。
色々試してみて、私はエポキシレジンにある程度慣れていることもあって、ハードケースにアートをしてレジンする方法が一番やりやすく、側面は、余分なレジンをルーターで研磨するのが短時間でできました。
大量に作りたい場合も、この方法が効率的かなと思います。
ただ個人的に機能面では側面が全周保護されているハイブリッド型が安心で、全面にアートができるハードタイプのデザイン性と迷う所です。
※今年の初めに購入した、この記事のサムネイルにしているケースがハイブリッドで背面縁なしホワイトの全周タイプ(私の理想)だったのですが、商品ページが無くなってしまってました(泣)
側面は白とグレーのバイカラーになっていて、レジンはそのラインまでにしています。
この他にもっとやりやすいやり方もあるかもしれません。
皆様もオンリーワンのスマホケースを作ってみませんか?
●アルコールインクアートの雑貨の作り方 ガラスドーム編の記事
⚫硬化後のレジンの性質とレジン作品の取扱いの記事