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アルコールインクアートってなに?
アルコールインクアートとは、コピックを始めとするアルコールベースの油性カラーインクを無水エタノールなどのアルコールで伸ばして描くアートです。
風をあてて自在にインクを動かすことができ、色のにじみ、混ざり、広がりを楽しめます。
少ない材料で誰でも気軽に始められ、すぐに本格的な作品が作れることもあって、ここ数年人気が上がっています。
一歩進んだ表現として、花・ライン・飛沫・雲などを描いたり、紙ではなくキャンバスやガラスや陶器やプラスチックといった異素材に描くなど、楽しみ方は多岐にわたります。
絵が描けなくても大丈夫。
お部屋を飾る一枚をぜひ自分の手で描いてみませんか?
↓↓↓この記事の続き 描き方編はこちら
これさえあれば!基本の道具
まずはこれさえあれば始められる基本の道具はこちらの5点。
- ①耐水紙
↓5種類の紙が試せるパック
ポチップ- ②無水エタノール
- ③アルコールインク
カラー2本以上、できたらブラスがあると◎
ポチップJacquard¥1,300 (2024/11/19 04:36時点 | Amazon調べ)ポチップ- ④スポイト
↓容器一体型で使いかけで保存できる
ポチップ- ⑤ゴム手袋
- ポチップ
それと、お使いのドライヤーでOK!
・インクアート用によく使われるのはこちらのタイプ
もっと詳しく知りたい方へ、それぞれの物品についてどこより詳しく解説します。
先に言っておきます。とっても長いので、要点だけ読みたい方は太字部分のみ拾って下さい(笑)(上の目次から気になるところへ飛べます)
耐水紙について
アルコールインクアートには基本的に耐水紙と呼ばれる特殊な紙が使われます。
手に入りやすい代表的なものがユポ・コーポレーションのユポ紙です。
アルコールインクアート用に選ぶ上で注目してもらいたいのは、サイズと厚さとパック入数です。
それぞれバリエーションをご紹介するので、お財布やご自身のやる気(笑)と相談して決めていただければと思います。
パック品サイズ
サイズは、A3とA4が一般的です。
●私が監修させていただいた用紙(ユポ) A4・10枚入
●A3・10枚入
初心者さんは大きく広げることが難しい場合が多いと思うので、まずはA4サイズから練習を始めるのがおすすめです。
少し慣れて作品を作り始めたら、好みの場所をトリミングしたり、余白を取ったりする上で大きめサイズが扱いやすいと思います。
厚さ
続いて厚さについて、パックタイプのユポでは0.11mm~0.25mmが一般的です。
目安として0.11mmは厚めのチラシやポスター、0.25mmはハガキよりも厚くノートの表紙ほどです。
お値段は薄い方が安くなります。
※紙の厚さはmmまたはμm(1/1000mm)の他、kgや、g/㎡またはGSM(grams per square meter)とも表記されます。
紛らわしいですが全て厚さを表す単位です。
作品をそのままフォトフレームに入れるなどして飾りたい場合は丈夫な0.25mmがおすすめです。
パネルなどに貼ることをお考えの方は0.11mmでも良いですが、ユポはシワや折れ目が付くとたとえ貼りつけても消えないため、慣れないうちは少し厚みがある方が安心ではあります。
入り数
入り数は10枚から100枚まであります。
大容量の方が1枚当たりの値段は安くなります。
ただし、実は紙は吸湿などで描き味が落ちる場合があるので、ご自身が使い切るペースに合わせて購入するのがおすすめです。
⚫A4・100枚入り
ロールタイプ
コスパを求めるならパックタイプの他に、厚さ0.165mmのロールタイプ(約60cm~120cm×30m)があります。
※ちなみにA3は420×297mmです。
⚫610mm×30M,0.165mm
ロール紙では片面のみアート対応になっているものが一般的(A4やA3のパックのものは両面タイプです。)で、普通にカッターやハサミでカットして使います。
ロール紙のように紙が巻かれている場合、「中表(なかおもて)」と言って、内側になっている方が表面(アート面)になります。
片面のロール紙をお選びの時は、表裏を間違えないようにして下さいね。
アルコールインクアートは紙の種類で描き心地が違います。
↓↓↓他の用紙について知る(プラバンもあります)
ちなみに紙以外のものにも描けます。
↓↓↓スマホケースに描く(目次から飛べます)
アルコールについて
アルコールインクアートでは、インクを広げるのにアルコールを使います。
アルコールと言ってもさまざまな種類がありますが、日本でアルコールインクアートに広く使用されているのは無水エタノールです。
アルコール濃度が100%に近いほど描き方をコントロールしやすく、
アルコール分が飛んだり湿気を吸ったりしてアルコール濃度が下がると、ぶよぶよとした模様が現れたり、仕上がりのツヤが無くなるなどの影響があります。
アートに正解は無いですし、あえてそういう表現を狙うのももちろんアリですが、初心者さんの描きやすさという点ではおすすめしません。
また大事なポイントとして容量が大きすぎないものが良いです。
アルコールは容器の中で飽和状態まで気化しているため、容器の蓋を開けるたびにアルコール分が飛んでいきます。
特に液体が少なくなってくると、その分容器内で気化するアルコールの量が増え、使っていくほどアルコール濃度が下がりやすくなります。
容器が大きければそれだけアルコールが飛びやすくなるため、初心者の方は早めに使いきれる少なめの容量のものがおすすめです。
アートをする時の使用量は私の場合、A4の紙1枚であれば、ポイント的な描き方で30ml、紙一面に広げる描き方でも150mlもあれば余裕で足ります。
※下記の健栄のものは定価1,892円、コロナ前1,000~1,300円でした。
価格はこまめに変わるため、安いタイミングを見計らって購入しましょう。
セット品の方が安い場合が多いです。
もし密閉容器への小分けをお考えなら、移し替えをするときは、道具や容器にアルコール耐性があるか確認して下さい。
強いアルコールはプラスチックを溶かすため、溶けたプラスチックによって描き味が変わってしまうからです。
プラスチック容器に詰め替えるときは「アルコール液対応」などと表記のあるものが安心です。
開封したものの使いきれず余ってしまったり描き味が落ちてきたなと感じたら、薄めて消毒用にしたり、本来の用途であるお掃除や消臭にも使用できます。
アルコールインクアート用には開封後時間が経ちすぎていない、何度も蓋を開け閉めしていないものを使いましょう。
無水エタノールに次いで使われているIPAについてはこちら
↓↓↓
アルコールインクについて
日本でアルコールインクアートを始めるなら、最初に手に取るのはコピックがよい思います。
海外では多くのブランドがアルコールインクを販売していて、複数の種類のアルコールインクが手に入りやすいですが、海外アーティストさんでもコピックを作品に使用している方は多いです。
コピックの良さはなんと言っても豊富な色数です。
好きな色を選ぶのもアルコールインクアートの楽しさですよね。
ただ、事前知識なしで闇雲に購入するのは少し危険です。
358色もあるため、似たような色や伸ばすとほとんど差がない色もたくさんあります。
また、蓋の色やサイト上で見ていた色と、アルコールで薄く伸ばした時の色が結構違うということもよくあります。
さらに、実はアルコールインクアートにはあまり向かない色もあります。
もちろん自由に選ぶのも良いとは思いますが、私は色選びでたくさん失敗しましたので、購入前に少し予習しておくのをおすすめします。
●コピックの色選びのヒント
↓↓↓コピックの色について知る
↓↓↓見た目で並べた色見本(アルコールインクアート)
コピックインクの購入手段は、画材店の店頭で買うほか、ネット通販、そしてメルカリなどの中古販売があります。
今更ですがコピックはもともとは油性の染料系マーカーです。
アルコールインクアートで使っているのはこの補填用インクです。
以前はバリオスインクという名前で販売されており、2020年に値段据え置き容量半分というリニューアルをして名前もコピックインクに変わりました。
中古販売などではお得なバリオスインクの方もまだ見かけることがあると思います。
ですが、バリオスインクの中古品はあまりおすすめできません。
理由は以前の持ち主さんの保管状態や開封時期が分からないからです。
インクもアルコールと同様劣化するため、バリオスインクを買うとき際は未開封か保管状態が良いものにしましょう。
●コピックは紫外線やレジン硬化時の化学反応などの影響で変色・退色します。
↓↓↓コピックの退色についてもっと知る
メタリックインク
ゴールドなどのメタリック色は、海外品を使います。
初心者さんが最初に手に入れるならピニャータのブラスが扱いやすくておすすめです。
メーカーやシリーズによって仕上がりが変わるので、慣れてきたらぜひ他のものにもチャレンジしてみて下さい。
メタリック以外にパステルやホワイトもあります。
↓↓↓メタリックインク比較や海外メーカーのアルコールインクをもっと知る
スポイトについて
スポイトはアルコールを紙面に注いだり移し替えたりする際に使用します。
便宜上スポイトと呼んでいますが、実際アルコールインクアートに向くのはアルコール耐性のあるニードルボトルや小容量のピペットです。
画像の①がニードルボトルです。他にドロッパーボトルとも呼ばれます。
ニードルボトルは、アルコールをこれに移し入れたらそのまま描いていけます。
先端が細くなっていて小回りがきき、少量ずつ狙った場所に落とすこともできるし、広範囲に多めの量を広げることもでき、一本あると便利です。
容量は30mlと、5mlや10mlの小さなタイプと二つあるとよいです。
30mlの方はアルコール用として、小容量の方はインクを最初から薄めて使いたいときに重宝します。
使い続けていると、亀裂が入って漏れてきたりする消耗品なので、複数あっても使えます。
●30ml×10個
●10ml×10個
画像の②はピペットです。(背景と同化して見づらくすみません)
ピペットはアルコールを別容器に移し替える時や、アルコールをガラス瓶に移して描いていく時に使用します。
容量は3mlほどのものが滴下量を細かに調節しやすくておすすめです。
ピペットは少し頼りないくらい柔らかいものの方が良いです。
素材が固いと、何度も使う(1枚の絵を仕上げるのにも結構酷使します)内に割れたり裂けたりして壊れてしまうし、手も疲れます。
また、上の部分が蛇腹のポンプ状のものよりスポイト状の方が使いやすいです。
こちらも消耗品なのでたくさんあってもOKです。
●3ml×100本
写真のピペットの隣はゴム製スポイト付きのガラス瓶です。
と言っても、私はこれの瓶の方をピペット使用時のアルコール入れに使用しています。
※ちなみに付属するスポイトは長さが瓶の底まで届いていません(笑)!
一応これです↓
この瓶は口が狭く、アルコールの揮発が抑えられてよいと思います。
またスポイトと蓋を閉めれば密閉されるので、制作を一時中断したい時もアルコールを無駄にしなくて済みます。
ニードルボトルを使うかピペットを使うかはお好みで良いと思います。
私は作品のサイズや技法によって両方使い分けています。
ニードルボトルの場合、たくさんの量を素早く出そうとすると、先が細い分、噴出する時に勢いがついてしまいます。
ピペットの方が柔らかにアルコールを出せるので、繊細に素早く描いていきたい時などにはピペットを使っています。
ドライヤーについて
実はドライヤーが無くてもアルコールインクアートはできます。
紙面に直接、またはストローを使用して息を吹き付けていく方法や、ブロアー(カメラレンズ等のホコリ取り)を使用する方法があります。
●ブロアーでアルコールインクアートをする様子
これはこれで独特な模様が生まれたりして楽しいですが、ドライヤーがあった方がたくさんのデザインを楽しめます。
基本的にアルコールインクアートに向くのは、風が弱いものです。
風が弱い方がインクの動きをコントロールしやすいからです。(デザインにより強風に切り替えて使用することもあります)
私を含め、日本でよく使用されているのが画像左のくるくるドライヤーです。ヘッド部分を取って使います。
↓騒音抑制機能がついていて夜間の使用時に助かります。
写真右はエンボスヒーターです。
エンボスヒーターは一般的にドライヤーより風力が弱く、高い温度の風が出るもので、主にクラフト用として使われています。
アルコールインクアートにも使用できるのですが、通常の高温タイプだと熱に弱い合成紙を溶かしたり歪ませたりしてしまうので、どうしてもエンボスヒーターを使いたい場合は低温設定ができるものにしましょう。
↓低温設定付き
家にある普通のタイプのドライヤーも使えます。
ドライヤーを複数使用し比較してみました
↓↓↓
アルコールやアルコールインクは引火性があるため、ドライヤーが火元になってしまわないように、事前にプラグの接触や、フィルター詰まりがないかなど忘れずご確認ください。
服装・環境・下準備について
服装
アルコールインクは服に付くと取れません。
アルコールインクアートをする時は、汚れてもよい、または汚れが付いても目立たない服装にしましょう。
手についてしまったアルコールインクは、落ちにくいですが無水エタノールで拭き取ればきれいに落とせます。
ただし、アルコールには脱脂作用があるので、手荒れが心配な方はゴム手袋をご着用ください。
また消毒用アルコールに過敏な方は必ず手袋が必要です。
手袋にはパウダーフリーのものがおすすめです。
●ニトリルグローブ100枚
テーブルクロス
服と同様に、机に付いたアルコールインクも机の材質によっては落ちないことがあります。
また先述しましたが、強いアルコールは一部のプラスチックを溶かしたり、木材の塗料を剥がしてしまうこともあります。
そのため、テーブルにはクロスを、床にもシートを敷くと良いです。
机に敷くクロスは、水分を吸ってくれて、且つ下まで染みない物が良く、おすすめはペットのトイレシーツです。
ペットシーツをお持ちでなければ、ラップの上にキッチンペーパーを敷くことなどで代用できます。
ビニールのシート等だけの場合、紙からはみ出たインク液がそのまま裏一面に広がったり、思わぬ所を汚してしまうことはよくあります。
また、シートまでダイレクトに加熱されてしまうため、熱に弱いユポ紙は反りやすくなります。
空気を含んだ物を敷くことで熱が分散し、ユポ紙が熱くなりすぎるのを軽減してくれます。
そして、敷く際はなるべく平らになるようにして下さい。
平坦でないと、描く時に低いところへインクが流れてしまいやすくなります。
他にMDF材などの板もオススメです。
MDFボードは100均にも売っています。
床に敷く物の方は、下まで染みない素材ならなんでも大丈夫です。
●切って使う大きくて薄いシャカシャカのシート(テープつき)
環境
アルコールインクアート中は換気を忘れず行ってください。
アルコールインクアートはアルコールを気化させて描いていきます。
気化したアルコールは体質によって体調不良の原因となります。
密閉空間で行うことは避けましょう。
また無水エタノールは引火しやすいので、火気の近くで行うことも避けて下さい。
その他に、アルコールインクアートをするのは晴れた日の方が良いです。
これは気分の問題…だけでなく理由があって、湿度が低い方が描き方をコントロールしやすいからです。
アルコールは吸湿するため、せっかく100%に近い濃度のものを使用していても、湿度が高ければ効果は半減してしまいます。
雨の日には除湿するなど、アルコールアートはなるべく湿度の低い部屋で行いましょう。
全部そろったら
早速描いていきましょう。
基本的な描き方
こちらにまとめています
↓↓↓
応用技法や他のやり方も技法関連カテゴリーにまとめています。
画面上部のメニューからカテゴリーが開けるので、気になる方はぜひご覧ください。
さらにこだわって仕上げたい方へ
仕上げのこと①保護スプレー
アートの表面保護などのためにスプレーをかけておくと安心です。
ちなみにUV防止タイプのスプレーはアルコールインクアートに対してはほとんど無意味です。
小傷やよごれ防止など機能面を重視するならホルベインさんのグロススプレーを4回以上重ねがけするのがおすすめです。
検証した記事はこちら
↓↓↓
仕上げのこと②パネルへの貼り付け方
パネルにアートを貼るやり方は、両面粘着シートを使う方法とスプレーのりを使う方法と、接着剤(ジェルメディウム)を使うやり方があります。
経年時の剥がれにくさからジェルメディウムを使うのが最もおすすめです。
やり方はこちら
↓↓↓
仕上げのこと③パネルの塗装
パネル側面は白木のままでも良いですが、塗装するとより雰囲気を合わせられます。
塗装の前に下処理をしておくと綺麗に仕上がります。
下処理のやり方の記事はこちら
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塗り方も気をつけるとさらに綺麗に仕上げられます。
塗装のやり方の記事はこちら
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ゴールドに塗装するのも良いですよね。
たくさん種類があるゴールドを比較してみました。
↓↓↓
文字入れのこと
アルコールインクアートに文字入れする時は、アートを溶かしたり、はじいてしまったりしないものを選ぶ必要があります。
ペンやインクを検証した記事はこちら
↓↓↓
エポキシレジンコーティングのこと
アートをパネルにしたら、レジンコーティングをしてツヤツヤにするのも憧れますよね。
基本の道具をご紹介した記事
↓↓↓
レジンコーティングのやり方をご紹介した記事はこちら
↓↓↓
飾り方のこと
アルコールインクアートをフォトフレームや額縁、パネルなどで飾る時の方法や種類、飾り方をご紹介します。
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雑貨を作りたい方へ
レベル1:うちわ
うちわの資材は100均にあります。
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レベル2:手作りタグ
ハトメを使ったタグの作り方
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レベル3:ピルケース
ピルケースの資材は100均です。UVレジンを使います。
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レベル4:ペーパーウェイト
ガラスドームとUVレジンを使います・
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レベル5:イニシャル雑貨
イニシャルの資材は100均です。エポキシレジンを使います。
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ぜひ色々応用して楽しんでみて下さいね。